英字新聞「The Japan Times Alpha」に追い回されています。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

英字新聞「The Japan Times Alpha」に追い回されています。

英語がなかなか上達しないので、もう少し学習機会を増やしたいと思っていたところに飛び込んできた「英字新聞」という選択肢。「The Japan Times Alpha」の購読をスタートして、三か月が過ぎたところです。オンライン英会話も検討しましたが、「紙」に軍配が上がりました。できるだけデジタル画面と接する時間を短くしたいアナログ人間です…時代に逆行しているかもしれませんが(笑)。

「The Japan Times Alpha」は週刊で届きます。「週に1回なら、全文読むだけくらいはできそう」との考えが甘かったのはすぐにわかりました。たとえ「読むだけ」であっても、今のわたしの力では日本語の新聞のように隙間時間でササっと読むことは難しく、隙間時間に加え、ちゃんと時間を確保しなければ、すぐに「次号」が追いついてしまうのです。結果、我が家の居間のわたしの定位置には、常に英字新聞が2-3部溜まっている今日この頃。でも、毎号の記事はリアルタイムで面白く、ニュースのジャンルも多様で興味深いので、全部読みたい!という意欲は衰えません。

そのうえ、ありがたいことに購読者会員向けのサイトが、ものすごく充実しているのです!紙で届いた英文記事の読み上げ音声があるのをはじめ、「多聴」を促すリスニングとインプットのための音声その他、腰を据えて取り組まなければ使いこなしきれないほどの課題と教材が用意されています。「これらの教材をどのように使うと効果的か」をレクチャーするコンテンツもあり、至れり尽くせり。アナログとデジタルの良いとこどりで学んでいくようにできているのですね。

これらの教材を、毎号新聞が届くたびにすべて使いこなせば、かなり力がつくだろうことがイメージできました。これだけの準備をしていただいたら、もう言い訳ができません(笑)。英語の上達を望むなら、どこで学ぶか・誰に学ぶか・どう学ぶかという方法論よりも先に、いかに優先的に時間を確保して継続して取り組めるかが、今のわたしの課題だと、気づかされました。

というわけで、今も最新号から2部のThe Japan Times Alphaが目の前に鎮座しています。「追い回される」状態から「届くのを待つ」状態へと、立場を入れ替えることができる日が来るかどうかは、自分次第です(汗)。

ダンナの仕事場が、ときどき動物園のようになります。

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ダンナの仕事場が、ときどき動物園のようになります。

ロンドンにある藤吉憲典の契約ギャラリーSladmore ContemporarySladmore Galleryは、半世紀以上続く老舗のギャラリー。「Animal sculpture」分野のプロフェッショナルとして、近代から現代にかけての彫刻家の作品を扱い、その審美眼を信頼するクライアントが世界各地にいらっしゃいます。

昨年来、作家にオファーが届いた展覧会タイトルは、「Dogs, Cats and Other Best Friends」、「Sporting animals」、「Endangered animals A-Z」と動物をテーマにしたもの。これまではほとんどが「ソロ(個展)」でしたので、テーマも作品も作り手が自由に決めていましたが、ギャラリー主催のグループ展に参加するようになると、「あるテーマのなかでの自由な表現」へのチャレンジ機会が生まれてきます。

そんなわけで、磁器彫刻家・藤吉憲典の制作工房には、動物たちの姿があります。カバ、サイ、野鳥などの定番に加え、テーマをいただいたことで新たに生まれるキャラクターもあり、賑やかになってきました。最近の新顔は、猟犬、ハヤブサ、ペンギンなど。

藤吉憲典 箱シリーズ 犬
藤吉憲典 陶箱シリーズ
藤吉憲典 陶箱シリーズ

ここでご紹介した写真は、いずれも「素焼き」の窯から上がった状態のもの。ここまでの工程で、まず形が決まります。そしてここからは、色がついて行きます。染付の下絵から本窯焼成、赤絵(上絵)付をして赤絵窯へと、「絵付け→窯焚き」を複数回繰り返して、完成品となります。それまでは、仕事場に動物の姿がごちゃごちゃといる状態。

それぞれの作品がどのように出来上がるのか、最終形のイメージは作り手の頭のなかだけにあります。窯から出てきて「これで完成!」を目にするのが、とても楽しみです。

恒例行事が嬉しい―今年もまたお雛様の季節。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

恒例行事が嬉しい―今年もまたお雛様の季節。

花祭窯のあるここ津屋崎千軒では、毎年三月になると、登録有形文化財の古民家・藍の家でのお雛様展示が恒例行事です。このブログでも、毎年のようにご紹介しています。

今年もそろそろかなと藍の家を覗いてみたら、まさに展示準備の真っ最中!

藍の家雛祭り

上の写真は、今年の展示から初登場となるお雛様。毎年、ご近所から古いお雛様が寄贈されていますが、そのなかでもかなり古いものになりそうです。藍の家を運営しているボランティアスタッフの皆さんが忙しく手を動かしておられるなかお邪魔し、「道具が可愛い!」と大騒ぎして写真を撮らせていただきました。

お人形もお道具も古いものですから、丁寧に扱わないと破損につながります。ひとつひとつ展示していくのも大変そうですが、片付けの方が数倍も大変なのよ!と。そうですよね。それでも見に来てくださる方があるからと、毎年展示してくださるスタッフの皆さん。わたしも毎年楽しみにしている者の一人。心より感謝しています。

以下は、2020年-2018年の藍の家のお雛様レポート。

読書『眺める禅』(小学館)増野俊明 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『眺める禅』(小学館)枡野俊明 著

週末、タイトルに『禅』のついた本を物色しておりました。そのなかで、最もわかりやすく読んだ(あるいは、眺めた)のが本書です。

著者の枡野俊明さんは、曹洞宗徳雄山建功寺のご住職であり、庭園デザイナー。本書は、庭園デザイナーとして著者が設計した禅庭のミニ写真集とでもいったところでしょうか。ただそこはさすがご住職、それぞれの写真に添えられたタイトルや文章が、禅のことば・教えを伝えています。

著者は「寝る前に30分、本書を開きませんか?」と誘います。静かに座って禅の庭を無心に眺めることで、就寝前に不安や雑念を払い、静かな気持ちで眠りにつくことができますよ、と。これが習慣化することで心の安寧が得られると説いています。

園芸療法的視点で考えても、実際に庭(禅庭に限らず)の自然を眺めることが心身に良い影響を与えるのは間違いありません。現代社会において、ふだんの生活のなかで就寝前に30分庭(自然)を眺めることができる環境にある人は、多くは無いかもしれないことを考えると、本書で提唱する「写真で禅庭を眺める」ことは、その代わりとして誰でもが取り組みやすい方法といえるかもしれません。

28か所の禅庭の写真が載っています。「禅の庭」とひとことに言っても、そのデザインは多種多様。気に入った庭の写真を眺めていたら、30分はあっという間に過ぎそうです。「30分瞑想しなさい」と言われたら難しそうですが、禅の庭を眺めることならば容易にできそうだと気づいたとき、著者であるご住職の、「現代生活を送るふつうの人たち」への心遣いを感じました。

コンパクトな写真集本です。願わくば、写真がもっと大きかったらよかったなぁと思いましたが、「就寝前に開く」という用途を考えたときに、このサイズになったのだだろうと合点。この本の考え方から派生して、好きな禅庭や庭園の写真を寝室に飾るという方法もありそうです。

お茶のお稽古へのモチベーション。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お茶のお稽古へのモチベーション。

暖かい一日となった先日、お茶の先生が花祭窯を訪ねてきてくださいました。花祭窯では現在「福岡県感染防止宣言ステッカー」に準じ、ご来店への対応をしています。ありがたく嬉しいご来訪。わたしが入門している茶道南方流では、2020年3月以降感染症防止対策でお茶のお稽古を中止していますので、先生方にも約1年ぶりにお会いすることができました。

お茶のお稽古では、密を避けることが難しいです。四畳半の茶室での稽古は、まさに「三密」。お濃茶はお茶碗を回していただくものですし、茶碗茶巾などのお道具を、一人一人使うたびに消毒するというのは、できないこともなさそうですが、あまり現実的ではありません。

とはいえ、他の流派では、これまでとやり方を変えてお稽古を再開しているところもあります。いろいろな考え方があるなかで、「やらない」という決断をし続けることも、我慢が必要なことでしょう。それができる南方流のお師匠さんは、やっぱりすごい方だと思うのです。

さて先生が花祭窯にお越しになり、まず最初にわたしが口にしたのは、恥ずかしながら「お稽古ができていません…」という言い訳でした。すると先生は「わたしも、お抹茶立てていただくぐらいで、ぜんぜんお稽古はできてないんですよ。なかなか難しいですよね」と。そして「はい、お土産」と、生菓子をくださいました。「これがあれば、お抹茶立てたくなるでしょう?」と。大好きな生麩饅頭です。

さすが先生です。おいしい生菓子があれば、お抹茶を立てたくなる。わたしの性格をよく見抜いておられます。そういえばこのところ、生菓子を買っていませんでした。「そっかぁ、生菓子が無かったからお茶のお稽古ができなかったんだ!」との結論に結び付け(笑)

狭小茶室「徳り庵」もご覧いただき、「一人でお稽古するのにちょうど良さそう」と先生がおっしゃると、どんどんやる気が湧いてくるのですから、我ながら単純なものです。お稽古が中止になってからの一年間、「家でもお茶のお稽古はできる」と思いながら、なかなかできずにいました。まずは日常的に「おいしい生菓子」を用意し、お抹茶を立てるところから、リハビリスタートです。

万年筆初心者、楽しんでいます。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

万年筆初心者、楽しんでいます。

「万年筆デビュー」でブログを書いてからもうすぐ一年。齢五十にしてのデビューはスロースタートではありましたが、もともと「紙とペン」を愛する者としては、日常的に万年筆登場の機会が多く、毎日楽しく使っています。写真は藤吉憲典の作ったアッシュトレイ(灰皿)をペントレイに見立てて置いてみたところ。

一本目はネットショップで手に入れましたが、使い始めてすぐに「ちょっとした疑問」がいくつも出てきました。インクはカートリッジが良いのかボトルインクが良いのか、メーカーごとにインクの違いがあるのか、という初歩的なところからはじまり、手入れの方法(=洗い方)、ペン先の太さやインクの色の選び方など…。

本やメーカーのサイト、専門店のサイトなどで調べはじめると、まあ奥の深いこと。一過言ある方々の記事は「万年筆愛」にあふれるものばかり。筆記用具マニアが夢中になる世界がここにもあることに、遅ればせながら気づいたところです。

とはいえ、わたしの持つ疑問は初歩的なものばかり。聞いた方が早いかも!ということで、二本目購入は近くの文具屋さんに足を運び、店員さんにご指南いただくことに。万年筆に詳しい店員さんが一人いらっしゃって、「まだ一本目を使いはじめたばかりで」と申告すると、ちょっとした疑問にも丁寧に答えてくださいました。ガラスケースから取り出した万年筆を目の前で分解しながら説明してくださり、インクの色とペン先を変えながら、字の太さや色の出方を紙に書いて見せてくださり、とてもありがたかったです。

おかげさまで、ペン先の太さ、持った時の重さなど、一本目とは異なるタイプのお手頃価格の万年筆をゲットすることができました。アナログ世代のわたしとしては、やはり実物を見て触りながら説明していただくとわかりやすいです。初歩的な疑問が解消されると、さらに楽しみが広がりそうです。万年筆本体についても、インクについても、「次はこういうのが欲しいな」とイメージも湧いてきます。

残念ながら、その文具屋さんは昨年末で閉店してしまいました。貴重なご近所文化資産が失われてしまった感じがしています。「町の本屋さん」がどんどん減っているのと同様に、「町の文具屋さん」が生き残っていけるかどうかもまた、その地域にそのような文化を愛する人がどれだけ存在するかにかかっていますね。

かくいうわたしも、その文具屋さんに頻繁に足を運んだとは言えませんでした。ずっとそこにあって欲しいお店には、できるだけ足を運ぶことこそがその意思表示。一人の力でどうにかなるものではないと分かっていますが、その積み重ねも大切よね、と。万年筆を手にするたびに思う今日この頃です。

「2021九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のよりよい関係」後半(2021.2.20)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「2021九州産業大学国際シンポジウム 博物館と医療・福祉のよりよい関係」後半(2021.2.20)

博物館学芸員技術研修で毎回お世話になっている、九州産業大学美術館・地域共創学部教授の緒方泉先生率いる「2021国際シンポジウム」に、オンライン参加いたしました。2月13日に開催されたシンポジウムの続きです。今回も英国と米国をつないで、Zoomと同時通訳アプリを活用しての開催でした。

テーマは「withコロナ、afterコロナに向けた高齢者プログラムの取り組みと課題」。九州産業大学美術館・地域共創学部教授の緒方泉先生、英国からはダリッジ・ピクチャーミュージアムさん、米国からはArts &Mindsさんからの発表でした。

以下、備忘。


  • (国・文化・機関・立場を超えた)共通項、共通言語を見出す→連携
  • 教育機関・福祉機関・医療機関の関係団体と連携して様々な社会的課題を解決する場としての役割(文化審議会「文化芸術推進基本計画(第1期)について(答申)」(2018年)より)
  • 処方箋に「博物館」と書く。
  • エビデンス。
  • フレイル予防の場としての博物館。
  • Museums Change Lives
  • You can find yourself in the gallery.
  • All ages and backgrounds
  • Together for Museums
  • デジタル格差
  • Holistic and integrated creative programs
  • The importance of green space
  • オンライン、郵便、電話
  • Art Dialogue、Art Conversation、Art and Movement
  • オンライン→生活の場において参加できる利点=外出時の地理的障壁・課題の解消
  • More programs for More places
  • Social、Local、Community
  • Person centered care
  • One to one communication
  • Keep in touch
  • エデュケーションだけでなく、ゆったりする、くつろぐ場としてのミュージアム
  • Gallery and Garden
  • 感情の表出を後押しする
  • 瞑想、ヨガ

2018年度に参加した学芸員連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」から、博物館学芸員資格取得者として福祉・医療との連携を考える機会がスタートしたのでした。博物館が地域で果たす役割について、各館・各学芸員がそれぞれの地域でどのような案を見出し、どうすれば実現できるのか。第1回目「コラージュ第2回目「園芸療法第4回目「回想法第5回目「音楽療法」と、さまざまな視点から学んできたことを、今回のシンポジウムでさらに深める機会となりました。

わたしは博物館学芸員資格を取得しているとはいえ「館」に所属したことはなく、フリーで学芸員活動(アートエデュケーター)をしています。そのような立場の者に対しても、情報を提供してくださり、学びの場をオープンにして受け入れてくださる緒方先生をはじめ事務局の皆さまに、心より感謝申し上げます。

九州産業大学美術館・地域共創学部教授の緒方泉先生の発表内容の詳細は、書籍で発刊されることになっています。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてくださいね。

読書『リアルビジネス3.0 あらゆる企業は教育化する』(日経BP)日経トップリーダー編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『リアルビジネス3.0 あらゆる企業は教育化する』(日経BP)日経トップリーダー編

ちょっと前に気になっていながら手に取りそびれていた本です。たまたまお友だちが本書の内容に触れている記事をブログに書いていて、「そういえば気になっていたんだった!」と思い出しました。初版が2019年11月となっていましたので、1年ちょっと前の本ですね。月刊経営誌『日経トップリーダー』(日経BP社)の特集記事などをもとにしたものだそうです。

「まえがき」に書いてある一文が、本書が出版された背景を簡潔に示していました。


『モノの時代が終わった日本では、製造業はサービス化し、サービス業はより進化したサービスを展開してきました。モノを売り買いしていた時代が「1.0」だとすれば、サービス化の時代は「2.0」、そして教育化が「3.0」と位置付けられます。』(『リアルビジネス3.0 あらゆる企業は教育化する』(日経BP)日経トップリーダー編より)


そういわれてみると、事業をしているお友だちのなかで、この方向にかじを切っている人がどんどん増えていることに心あたります。ただ、切り替えるというよりは、もうひとつの事業として、あるいは本業(もともとの事業)をサポートする事業として展開しているというイメージ。何かの代わりとして教育化があるのではなく、教育化によって全体が伸びていくイメージです。

「教育化の実例」が、BtoC(企業から一般客へ)、BtoB(企業から企業へ)の両方で合計16件載っています。よく名前を聞く会社もあれば、初めて知る会社もあり、業種業態も多種多様。どの事例も、読んでいて楽しくなってきます。この楽しさが「教育化」の本質だと感じました。誰かに何かを「教える」ことも、知らないことを「教えてもらう」ことも、お互いにとって「学び」や「成長」につながり、楽しい。

事例紹介の後にある「だから儲かる!」とタイトルのついたまとめコラムと、各事業の「三段活用」が図解されているのがわかりやすく、自分の事業に置き換えて考えるときに参考になります。「三段活用」とは、「売り買い → サービス化 → 教育化」というステップを整理する考え方。巻末には「三段活用シート」なるワークシートもついていますので、自社の事業の教育化を検討したいと思ったとき、すぐに取り掛かることができます。

わたし個人的には「事業の教育化」が一番最初に頭に浮かんだのは、花祭窯が創業してすぐの頃でした。それから20年以上が経って、やっと形にするタイミングがやってきたかな、と感じています。一つの事業分野でキャリアと年齢を重ねてきた今だからこそ、できるような気もしています。グッドタイミングでの読書でした。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”」

磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズ。「美しさ」には「用途の美」を含みます。使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。

「肥前磁器(ひぜんじき)」という呼び方は、まだあまり一般的ではなく、「有田焼」とか「古伊万里」といった方が、イメージできると思います。肥前磁器とは、有田焼、伊万里、鍋島などと呼ばれる、北部九州地方(肥前地域)で作られてきた磁器の総称です。地域的には現在の佐賀県・長崎県あたり。

今回は「用途」からちょっと離れて、磁器人形をご紹介いたします。磁器人形(porcelain doll / figurine)というと、スペインのリヤドロや、ドイツのマイセンといったヨーロッパの磁器メーカーの名前が思い浮かぶ方も多いかもしれませんね。

それらヨーロッパ磁器のお手本となっていた江戸時代の肥前磁器にも、磁器人形を作る文化はありました。有名なところでは、柿右衛門窯の色絵磁器による人形。たとえばサントリー美術館には、1670年代~1690年代に作られた柿右衛門の手によるとされる色絵女人形があります。

下の写真は、藤吉憲典による色絵磁器人形「お茶を飲む婦人」。藤吉憲典の所属するロンドンのギャラリーでは、藤吉は「ceramicist(陶芸家)」と呼ばれたり「ceramic sculptor(磁器彫刻家)」と呼ばれたりしています。それはまさに、このようなポーセリンドール(porcelain doll)(フィギュリン figurineとも呼ばれます)を制作するから。磁器を素材とする彫刻家ということです。

色絵磁器人形 藤吉憲典
藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”
藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”

現代の肥前磁器の産地で、このように丁寧に美しい人形を作る技量を持った職人さんは、もうほとんどおられないかもしれません。「肥前磁器=食器」だけではないことを、形で残していくのも、藤吉憲典の現代肥前磁器作家としての大切な使命です。

読書『起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)大西康之 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)大西康之 著

リクルート創業者・江副さんやリクルート社について書かれた本は、江副さんの自伝を含めたくさん出ています。社内(グループ内)向けに書かれたものを含め、四半世紀以上前の在職中から何冊も読んできました。にもかかわらず、新たに出るとまた読みたくなり…久しぶりにじっくり振り返りとなりました。上の写真は、カモメ。

わたしは残念ながら江副さんご本人に直接お会いしたことはありませんでしたが、それでもリクルートへの執着、その生みの親である江副さんへの関心があることは否定できません。その理由が、江副さんという創業者に対する熱狂ではなく、リクルートの仕組み(社風・考え方)に対する共感であることが、本書読後にあらためてわかりました。

以下、個人的備忘。


  • ファクトとロジック
  • 仕組み
  • 江副浩正というカリスマではなく、江副さんが構築した思想体系を信奉していた
  • 日本株式会社の人事部
  • モチベーション経営のもととなる「心理学」の大沢
  • 自分より秀でた人間をまわりに置くことで、自分のやりたいことを実現していく
  • ヒア・アンド・ナウ
  • 創り出す
  • ピーター・ドラッカー『現代の経営』
  • 二本の草を育てる者
  • データ・イズ・マネー
  • 社会への貢献・個人の尊重・商業的合理性の追求
  • 自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ
  • 窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し(易経)
  • 君はどうしたいの?
  • カリスマの「リーダーシップ」に置き代われるもの(中略)社員の「モチベーション」
  • じゃあそれ君がやってよ
  • ハーズバーグの動機付け要因
  • 大沢武志『心理学的経営 個をあるがままに生かす』
  • PC(プロフィットセンター)制度
  • 垂れ幕文化
  • RING(リクルート・イノベーション・グループ)
  • GIB(ゴール・イン・ボーナス)
  • 情報の共有
  • 分からないことはお客様に聞け
  • バッド・ニュースほど早く
  • 情報の民主化
  • 「地方、貧乏、野望」とSPI
  • 企業人より起業人
  • ゼロ・トゥ・ワン
  • 自分の仕事は自分で作れ
  • 目標が定まると、知恵と行動力が湧いてくる
  • リクルートマンシップ
  • 暁の駱駝プロジェクト
  • マッチング
  • 言い出しっぺ
  • 圧倒的な当事者意識
  • 革新的なビジネス・モデルと、心理学に根差した卓越したマネジメント理論

『起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)大西康之より


リクルート文化として一番わたしのなかに残っているのは、「君はどうしたいの?」と「最近どう?」です。「最近どう?」は、そのままの言葉では本書内に出てきませんでしたが、「情報の共有」に置き換えられるでしょうか。それも、単なる情報交換というようなものではなく、とても温かみのあるものであったことを言い添えておかねばなりません。しょっちゅう交わされる「最近どう?」の短い簡単な投げかけが、とても大切なものであったことは、リクルートに在籍した経験のある人なら心あたると思います。

「そうそう、そうだった!」ということももちろん少なくありませんでしたが、まったく知らなかったこと、気づかされたことがそれ以上に多く、読んでよかったと思いました。特に、創業期メンバーの一人であり、わたしにとって経営思想の師であるHRR創始者・大沢さんの、江副さんとの関係性を客観的な文章で垣間見ることができたのは、大きかったです。