花祭窯の十二月(師走)の露地-いつの間にかサザンカが咲き始めていました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の十二月(師走)の露地-いつの間にかサザンカが咲き始めていました。

12月の頭からロンドン出張に出ていましたので、11月終わって帰ってきたらもう12月中旬!という感じで、少々焦りつつある今日この頃です。具体的にどうということではなく漠然とした焦りなので、我ながらカレンダーの数字に惑わされているなぁ、と思いつつ(笑)。そんななか庭に目をやると、サザンカがぽつぽつと咲き始めているのを発見!

サザンカ

ツワブキもまだまだ黄色がきれいです。

ツワブキの花

干し柿も順調に育っております。

干し柿

ナンテンはすっかり色づきました。

南天

小さいながらも庭のある嬉しさ有難さ。あとは花祭の草刈りにも行きたいのですが、年内に時間が作れるかな、どうかな、というところです。

今週末は、国宝・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」です♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今週末は、国宝・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」です♪

いよいよ今週末に迫ってまいりました。豊村酒造さんの旧醸造場施設が国の重要文化財に指定されたのは、2024年1月のこと。国宝に認定されると、保存の義務が生じるとともに、近年では活用の義務も大きくなってきているということで、その一環としてお声がけいただきました。

重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-特設サイト

展示での活用は今回が初めてということで、その一発目。とてもありがたいことです。開催が決定してから、豊村酒造の若旦那と、国宝を管理する津屋崎豊村喜三郎記念財団さんと、ひかりのみちDMO福津さんと、連携しながら準備を進めて参りました。花祭窯としても、津屋崎でこのように展示をするのは、工房を移転してきてすぐのころ以来ですので、ほんとうに久しぶり。ぜひ一人でも多くの方に足を運んでいただけると嬉しいです。

豊村さんの祝い酒と、藤吉憲典作の干支の盃に、藤吉憲典デザインの「津屋崎千軒の手ぬぐい」がおまけについた、数量限定(10セット)のお得な特別セットをご用意して、皆さまのお越しをお待ちしております^^


重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-

会期:2025年12月19日(金) – 12月21日(日)
時間:10時 -16時
場所:豊村酒造 福岡県福津市津屋崎4-14-18

重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-

重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-特設サイト

週末の三日間。豊村酒造さんの奥座敷まで入ることができる貴重な機会です。ぜひお立ち寄りくださいませ。

2026年1月に予定していた北京での藤吉憲典個展は延期になりました。

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2026年1月に予定していた北京での藤吉憲典個展は延期になりました。

2024年夏に初個展でお世話になった北京のギャラリー喜水さん。次回は春節の前あたりに開催したい、とおっしゃるオーナーさんと日程調整をし、2026年1月中旬からの開催で準備をしておりました。前回の個展では、藤吉の在廊中に中国茶の先生がずっと美味しいお茶を入れてくださり、いろいろと学んできましたので、今回は中国茶器をたくさん作って送るように計画していました。

茶器以外の器も華やかな顔ぶれがそろい、年末年始の物流に配慮して、余裕をもってそろそろ発送手配をしようかというところに、「少し待ってください」のご連絡。喜水さんへの発送は、日本で対応してくださる代理人さんを通して行っていますが、どうやらここ1~2カ月で、日本からの荷物が税関で止められ何の説明もなく送り返されてくる、という事態が急に頻発しているとのこと。お互いに「なぜ」のところは暗黙の了解で、少し様子をみたほうが良いでしょうね、となりました。

様子を見ていてもすぐに改善しそうな気配はなく、延期したほうが良いかもしれませんね、ということになりました。作品がギャラリーに届かない事態になることが想定できるままでは、リスクが大きすぎます。せっかくの展覧会の機会ですから、できるだけ要らぬ心配のない状態で開催したい、というのが双方の想い。楽しみにしてくださっていた北京の皆さまには、もう少しお待ちくださいね♪ということで。

↓下の写真は、前回のギャラリー喜水さんでの個展の時に撮ったもの↓

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

福岡県中小企業ステップアップ支援事業「サッシン・ベース」ワークショップ第四回目。

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福岡県中小企業ステップアップ支援事業「サッシン・ベース」ワークショップ第四回目。

福岡県の商工部スタートアップ推進課からご案内をいただき、8月から参加している支援事業「サッシン・ベース」の第四回目。ワークショップはこれが最終回ということで、この先はピッチ資料の作成に入ります。そのピッチ資料=事業計画を充実したものにするためにも、ワークショップで一つでも多くを自分のものにしたいところです。

講師はサイボウズの岩越崇史さんで、テーマは『PoCと事業連携について』。で、例によってわたしは、まずは「PoC」って何だ?から(笑)。ググってみたところ、野村総研さんのサイトで「概念実証」という説明が出てきました。いわく「PoC(読み:ピーオーシー/ポック)とは、Proof Of Concept(プルーフ・オブ・コンセプト)の略で、日本語では「概念実証」と訳されます。新しい手法などの実現可能性を見出すために、試作開発に入る前の検証を指す言葉です」(野村総合研究所サイト、用語解説より)ということで。

堅苦しい言葉はさておき、講師の岩越さんのことばを借りれば、要は「小さく、たくさん、仕掛ける(試す)」ということのようです。こう言い換えると、とってもやさしくわかりやすくなりますね。岩越さんのお話は、全体を通じてとても分かりやすくて、質問をしやすい空気があって、すごいなぁと思いました。ワークショップでは、事業連携とか何かを個人で考えたり、グループで意見を出し合ったり、発表したり。頭を使って手と口を動かして、和気あいあいと、楽しいワークショップになりました。おかげさまで、すぐにやるべきこと、できることが明らかに。1時間半という短い時間でも、時間配分と心遣いで、大きな成果が得られる時間になるのだなぁ、とありがたく感じました。

以下、備忘。


  • 自分に無い「手」を、持っている人から借りる。
  • 時間を買う。持っていない力を借りる。技術・ライセンス・設備・ブランドetc
  • いかにブランドを毀損せずに売っていくか。
  • 例えば…スタバ×TSUTAYA→「コーヒー片手に本を読む時間」。
  • 実現したいのは何か。
  • そもそもビジネスとして成立するか。
  • 人。
  • 実績という名の手土産。
  • 実績とは、データ・数字などを伴う、明確な成果。
  • 実績は作るのではなく「現場から拾ってくる」。
  • 小さく、たくさん、仕掛ける。
  • お金をかけない、時間をかけない、まずやる!のスピード感。
  • 1000万円を1回ではなく、10万円を100回。
  • あちらこちらに「味方」をつくる。一人でも多く。
  • 最高の売り場はどこか。その場所を持っているのは誰か。その持ち主が抱えている課題は何か。
  • 実績を現場から拾ってくるには、買ってくださるお客様の解像度を上げていく。
  • (お客さまは)うちの商品と一緒に何を購入しているか。うちの商品を購入する前後の出来事・行動は。
  • 提携は、タイミングと人。

(『PoCと事業連携について』サイボウズの岩越崇史さんのお話より)


「事業提携」には、小さなコラボから大規模な提携まであらゆる分野・規模のものがあって、わたしが現在考えるていること・考えるべきこともまた、「事業提携」なのだということが明確になりました。ありがとうございました!

ロンドン出張備忘録 December 2025番外編-機内にて映画5本。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025番外編-機内にて映画5本。

12月。今年も「映画館で観る」をあまりできなかったなぁ…という反省を抱えていたところに、国際線機内での片道13時間ほどを活用して映画鑑賞ができました。いずれも過去年の作品ですが、往復各3~4本を観ることができて大満足!のなかから、特に面白かった5本をピックアップ。

キングスマン・ゴールデン・サークル(2017年)

ロンドンに行くのだから、まずこれでしょう!と勝手に決めた1本目。映画『キングスマン』の続編ということで、そもそも1作目から観ていませんでしたが、そのうち観たいな、と思っていたシリーズです。期待通りの痛快さ、お洒落さで、大満足。キングスマンの本拠地であるテーラー(スーツの仕立屋)のモデルとなっているお店は、ロンドン・メイフェアにあるらしいのですが、確かにその周辺にはテーラーだけでなく、靴、傘とステッキ、カバンなど、紳士の「お誂え品」をつくるお店が並んでいます。SLADMOREがあるセントジェームズストリートのエリア(上の写真はその一角です^^)も同様で、映画の中の世界と重なり、とても楽しめました。

生きる LIVING(2023年)

2023年の劇場公開時に観に行った1本です。黒澤明監督の名作を、カズオ・イシグロが脚本を書いてリメイクされた話題の映画。劇場で観てとても良かったので、もう一度。映画がスタートしてすぐに、ピアノの美しい音色が耳に留まりました。へぇ、こんなにきれいな音楽が流れていたっけ、と、映画館で観たときはあまり印象に残っていなかったことに驚きました。自分の意識がどこに向いているかで、同じ映画を観ても見えるもの(聞こえるもの)が変わってきますね。映像は全編を通して美しく、やはり良い映画でした。

イタリアは呼んでいる(2015年)

英国人中年男二人による、イタリア縦断グルメ紀行。コメディです。思わずプッと吹き出してしまうシーンがいくつもちりばめられ、滑稽さをまといながらもさりげなくお洒落な主人公二人は観ていて飽きず、面白くも切ないというか、切なくも面白い映画でした。イタリアの景色の美しさ、食べるシーンだけでなく作るシーンも目に楽しい、おいしそうな料理の数々、そして中年男二人の掛け合い漫才のような会話。個人的に、かなり気に入った映画でした。大きいスクリーンで観たら、景色の見ごたえがあっただろうな、な1本。

ダージリン急行(2008年)

監督はウェス・アンダーソン。最近何か観たような気がする、と調べたら、2022年に観た『フレンチ・ディスパッチ』が、ウェス・アンダーソン監督作品でした。この監督はこんな風なのですね。本作はジャンル分けするとコメディになるのだと思いますが、なんともいえないシュールさと、時折盛り込まれるバカバカしさが、中毒性を感じさせる映像でした。主人公の三人兄弟がそれぞれに抱える、家族・兄弟に対する愛憎というか葛藤というか、の描かれ方が絶妙でした。好き嫌いはありそうですが、わたしにはとても面白かったです。

アメリカン・フィクション(2024年)

コメディ映画と評されています。たしかにコメディというかブラックユーモアな要素が盛りだくさん。人種差別・LGBTQなど現代の社会問題を主題に描いた映画でした。観はじめてすぐに頭に浮かんだのは、少し前に読んだ、小説『ハックルベリー・フィンの冒険』を皮肉った(?)『ジェイムズ』でした。「白人が期待する黒人像」というテーマは、小説『ジェイムズ』が舞台とした時代(奴隷制度のあったころ)から現代まで、結局なにも変わっていなのか、と。『ジェイムズ』が刊行されたのも2024年ですので、そういうことを声を上げて言える社会になってきた、ということなのかもしれませんね。

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こうして振り返ると、コメディばかり観ていることがわかりますね。というわけで、映画館に足は運んでいませんが、今年の鑑賞記録がグーンと伸びた機内映画でした^^

ロンドン出張備忘録 December 2025その4-諸々雑感。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025その4-諸々雑感。

サポートしてくださった皆さまのおかげで、とても充実したロンドン滞在でした。以下、そのなかで気が付いたり、眼に留まったりしたことを。

寄付もキャッシュレス化。

ロンドンの美術館博物館は、入場料無料でドネーション(寄付)制のところが大きのですが、コロナ禍前まではいくつも設置されていた寄付金を入れるボックスが姿を消し、キャッシュレスで寄付をする方法が主流になっていました。寄付の方法の一つとして、美術館内MAPを購入する方法などがあるのですが、現金での購入は窓口がありはするのですが少なく、ここでもキャッシュレスが推奨されていることがわかりました。

スーパーマーケットのレジのところで募金活動。

日本でも年末は募金活動が活発になる時期ですが、週末にスーパーマーケットのレジのところに、スカウトと思しき子どもたちが、クリスマス装束を身に着けて募金箱を持って立っていました。ただ、スーパーマーケットでも現金で支払う人は少数派となっており、気持ちはあっても現金を持ちあわせていないので募金箱に入れることができない!的なシーンが。今後「募金箱」は無くなっていくのかもしれませんね。

ウェイトローズとセインズベリーはやっぱり強い味方。

ウェイトローズとセインズベリーは英国のスーパーマーケットです。毎回お世話になっているゲストハウスでは、キッチン付きのお部屋を借りて自炊できるようにしているのですが、徒歩3分以内に2つのスーパーマーケットがあるので、とても便利です。それぞれのスーパーのプライベートブランド商品などもあり、外食での物価の高さに比べて、かなりリーズナブル。ご近所さんや友人たちへのお土産も、お菓子・紅茶・調味料などなど、スーパーでばっちり揃いました^^

お昼休みは13時スタートらしい。

「ロンドンのお昼休みスタートは1時からのところが多いので」と、アテンド通訳さんが教えていただいたとおり、お昼12時半に開いていなかったインド料理レストランに、今日はお休みかとたずねると「あと30分ぐらいでオープンするよ」との答え。13時過ぎに再訪問して、美味しくいただくことができました。また、宿近くにあった、地元の方々に大人気の中華料理屋さんは12時オープン。混むかもと思ってきっちりに訪問したら、ほかにお客さんが誰もいなくて、ゆっくりご飯を食べることができ、わたしたちが帰るころにお客様が増えてきました。

物価のこと。

心配していた、ロンドンの物価。外食すると、やはり高かったです。ランチにサンドイッチとコーヒーで二人で5千円くらい!とか、これまたランチに町中華で二人で1万円ほど!とか(涙)。それに比べると、スーパーで買い物をする場合は、(わたしたちが利用したところでは)物価の高騰に目を剥く!という感じはありませんでした。そしてむしろ、外食にしてもスーパーにしても、ロンドンの物価云々というよりは、あまりにも円が安いので出費が膨らむ…という方がぴったりくる感じでした。

電車が楽しい。

ロンドン市内は地下鉄やバスが便利で、わたしたちもほとんどは地下鉄で動きましたが、電車をいくつか使う機会もあり、楽しかったです。時間をゆっくり取れるときがあったら、電車で少し郊外に行くのもおススメと言われました。バスも、路線図の見かたを覚えたら相当楽しくて便利だろうなと思います。どちらも次回以降の宿題。

地元の人も他所から来た人も、すぐに助け舟を出してくれる。

駅の路線図や、街中の地図や標識をダンナと二人で睨んでいると、必ず誰かが声をかけてくれました。「どこ行きたいの?」「なんか困ってる?」「○○ならあっちだよ」。この感じは、前回行った時から変わっていませんでした。一番「おお!」と思ったのは、大学生ぐらいと思しき数人の男子グループが、本人たちも旅行で来ていたようでしたが、路線図をにらんでいるわたしたちに声をかけてくれて、スマホ画面を見せてくれながら丁寧に教えてくれたこと。おかげで、とても温かい気持ちで、あちらこちらに足を運ぶことができました。

スマホのひったくりに注意!

ロンドンの繁華街を歩きながら、アテンド通訳さんが「スマホ注意してくださいね」とおっしゃいました。なんでも、スマホで写真を撮ろうとして手を前に出しているところをひったくっていく、ということが増えているとのことでした。たしかに、写真を撮ろうとしているときの「スマホを持つ手」って、とても無防備ですよね。


という感じです。また追々思い出したことがあれば、追加していこうと思います^^

ロンドン出張備忘録 December 2025その3-美術館・博物館視察。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025その3-美術館・博物館視察。

約1週間の滞在でしたが、今回はクリスマス・ショウのパーティー以外にもアポや視察がいくつかあったもので、美術館博物館にはあまり足を運べないかもしれないなぁ、と思っていたところでした。そこで、あらかじめ「ここに行きたい!」リストを作成し、順に足を運ぶことに。ダンナはわたしよりも回数来ているので、今回はわたしの希望を優先してもらいました^^

TATE BRITAIN

一番上の写真はTATEの入り口です。ずっと気になりながら、実はこれまでに一度も足を運んでいなかったテート・ブリテン。なので今回は絶対に行こうと思っていて、最初に行くことにしました。英国美術の歴史をたどることのできる美術館で、ターナーのコレクションと、ジョン・エヴァレット・ミレーの『オフィーリア』が有名です。

まず、ターナーの作品をこんなにまとめて観たのは初めてでした。たくさんの絵を見ていると、これまでに抱いていたターナーのイメージとはまったく異なった画家の印象が浮かんできて、新鮮でした。そして『オフィーリア』。やっと会うことができました。美しかったです。ちょうどガイドツアーのグループがオフィーリアの前で説明を聞いていたので、一緒に拝聴。グループが異動した後に、間近でじっくり観て参りました。

NATIONAL PORTLAIT GALLERY

こちらも、これまでに何度も行きそびれていた場所。ナショナルギャラリーに隣接しており、ついついナショナルギャラリーを先に観てしまうと、お腹いっぱいになって、ポートレートギャラリーまでたどり着かない!となっていました。そこで今回はナショナルギャラリーは後回しでこちらへ。

ロンドンNATIONAL PORTLAIT GALLERY

王室関係をはじめとした歴代主要人物の肖像画の数々。実に見ごたえありました。小学生と思しき集団があちこちにいて、自国の歴史を学ぶのにこういう場所があるのは素晴らしいなぁと、しみじみ感じました。

Victoria and Albert Museum

隙間時間ができたので、ダンナに「どこ行きたい?」と聞いたところ、即座に「ヴィクトリア&アルバート」との応え。ここは1度や2度では到底回り切れず、何度行っても新しい発見があり、時間が足りない場所です。

ヴィクトリアアンドアルバート博物館ロンドンにて

今回も眼福でお腹いっぱいになりました。展示物はもちろん、展示方法にも観るべきところがたくさんなのです。そんな大量のお宝のなかから、わたしにとって一番のお土産が、この写真。花祭窯で構想中の陶片ミュージアムの、お手本にできそうな展示をいくつも観ることができました^^

TATE MODERN

アポイントの待ち合わせ場所として、アテンド&通訳さんに指定されたのが、ここの1階にあるミュージアムショップでした。テートモダンは今回はリストに入れていませんでしたが、これ幸い、約束の時間より早めに到着してざっと観覧することができました。

テートモダン、ロンドン

元は火力発電所という、テートモダンのスケールの大きさに、毎回圧倒されます。そしてこの建物の外観に掲げられた「TATE MODERN - FREE AND OPEN TO ALL」の文字を見ると、胸が熱くなるのです。「OPEN TO ALL」すべての美術館博物館はかくあるべし、ですね。

NATIONAL GALLERY

ロンドン最終日の隙間時間に、ダンナに「どこ行きたい?」と尋ねたところ、「ナショナルギャラリーのダ・ヴィンチの部屋」と、ピンポイントの返事がありましたので、迷わずそちらへ。館内では迷いそうになりましたので(笑)、監視スタッフさんに聞いて目的の場所に辿り着きました。

ロンドンナショナルギャラリー

ダンナが「この絵を見ると、毎回とても励まされる」という、ダ・ヴィンチの作品を観ることができました。美術館の周りはクリスマス・マーケットでお店が立ち並び、このシーズンならではの景色を楽しむこともできました。


上から訪問順です。上2館はしっかり時間を確保して行きましたが、あとの3館は、隙間時間での訪問でした。短時間でも足を運ぼうと思えるのは、その内容の素晴らしさと、「Free」の気軽さゆえ。いずれも公の美術館であり、入場料は無料でドネーション(寄付)方式です。広く市民に向けて敷居が低く開かれていて、いつ行っても、老若男女・多様な人たちの姿があります。幼稚園生と思しき子どもたちから高校生と思しき若者たちまで、授業の一環として来場している集団があちらこちらにいるのも、素敵な景色。わたしが「ロンドン素晴らしい!」と思う一番のポイントです。

というわけで振り返ってみれば、結局ヴィクトリア&アルバートにも、ナショナルギャラリーにも足を運ぶことができた充実度合い。大満足です^^

ロンドン出張備忘録 December 2025その2-お仕事いろいろ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025その2-お仕事いろいろ。

海外出張に慣れていないので、予想外の事態が起こっても対処しやすいように、できるだけスケジュールに空白を入れるようにしています。時間にゆとりがあることで、流動的に対応できるかな、という、気持ち的な保険のようなものです。今回もそのつもりでいたところが、ありがたいことに打ち合わせや視察のお誘いが続けて入り、結果として「まあまあガッツリお仕事!」な感じになりました。

そもそも仕事と趣味の境界線があいまいなもので、どれもこれも嬉しく興味深いことばかり。とはいえ、ビジネス場面ではやはりちゃんと通訳さんをお願いしたいので、そこだけが気がかりな一点でした。いつもお世話になっている通訳・アテンドさんが、彼女は日本からの文化芸術分野のVIP対応を数多く任されている方でとても忙しい方なのですが、わたしたちの予定に合わせてスケジュールを組んでくださり、とっても心強く助かりました。

ロンドンでは既にSLADMOREがあるので、ギャラリーを増やすという考えはまったくありません。が、まったく別の観点から、ビジネスにつながるかもしれないご相談をひとついただきました。丁寧にコミュニケーションを続けて、お互いに嬉しい形を作れたら良いな、と思います。うまくいくかどうかは、わたしの企画力というかプレゼン力次第!?ありがたい宿題をひとついただきましたので、さっそく立案に取り掛かっています。

また、視察先のひとつCOCKPITのオープンスタジオでは、「工芸」の立ち位置について、深く考えさせられました。もともと、生活が成り立たない若い工芸家をサポートするために発足したという慈善団体・社会的企業としてのCOCKPITは、今では「実践的なクリエイターを目指す人々(工芸職人)が集まる場所」とされているようです。わたしたちが訪問したデプトフォードにある拠点は、ブリティッシュミュージアムの近くにあるCOCKPITに続く2拠点目ということでした。実際に現地に足を運んで活動の様子を見て、説明を聞いて、ほんとうにいろいろと考えさせられました。

ロンドン・デプトフォードCOCKPITからの景色

写真はCOCKPITデプトフォードの建物から見える景色。ロンドンの中心部を歩くことが多かったので、電車に乗ったりバスに乗ったりして、少し離れたところの景色を見ることができたのも、今回の大きな収穫でした。

↓備忘録その1はこちら↓

ロンドン出張備忘録 December 2025その1-SLADMOREのクリスマス・ショウ。

ロンドン出張備忘録 December 2025その1-SLADMOREのクリスマス・ショウ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025その1-SLADMOREのクリスマス・ショウ。

実に久しぶりのロンドンです。ダンナはほぼ毎年のように英国だのイタリアだの中国だのに出かけていますし、ロンドンには毎年作品を発送しているので、ずっと「ロンドンと仕事をしている」感覚と実態はあります。が、ワタクシふじゆりの海外出張はコロナ前の2019年以来なので、なんと6年ぶり。

SLADMOREのクリスマス・ショウに合わせて、ロンドンへ。12月3日のオープニング・パーティに顔を出してまいりました。ショウ自体は12月1日からスタートしたということで、もしかしてパーティは我々の渡英日程に合わせてくれたのかしら!?と勝手に嬉しくなりました。前回わたしが伺ったときはメイフェアのギャラリーでしたので、セントジェームズストリートのお店でのエキシビションに伺うのは初めて。いずれにしても老舗高級店が並ぶ、すごい場所です。

SLADMOREのクリスマス・ショウ

SLADMOREの入り口では、いつものワンちゃんがクリスマスリースでおしゃれして出迎えてくれました。現オーナーのエドワード氏とちょうど入り口で一緒になり、久しぶりのご挨拶をして中に入ると、入ってすぐのケースに、藤吉の作品を飾ってくださっていました。インビテーションカードにも、前面に藤吉の新作。何人も素晴らしいアーティストがいるSLADMOREで、今回このように扱ってくださったことが、とてもありがたく嬉しかったです。

SLADMOREのクリスマス・ショウ

今回わたし個人的に一番良かったのは、いつもメールですべてのやり取りをしているサラに会えたこと。日頃のサポートに対して顔を合わせてお礼を言うことができたのが、とても嬉しかったです。数年前に引退した前オーナーのジェリーも来てくれて、たくさんおしゃべりをすることができたのも、ほんとうに嬉しくありがたいことでした。

気が付けば、一番上の写真で伝わるかもしれませんが、会場はたくさんの人であふれ、大きな声を出さなければおしゃべりもできないようなにぎやかさ。隣の人と話すのに声を張ったのは、かなり久しぶりでした(笑)。そんななか、藤吉作品を購入してくださっているコレクターさんや、SLADMORE所属の作家さんにも何人かお会いすることができて、それもまたとても嬉しい貴重な機会でした。

SLADMOREの公式サイトで、クリスマス・ショウの電子カタログをご覧いただくことができます。 藤吉憲典の作品についてのお問い合わせも、SLADMOREで受け付けています。

読書『言葉のトランジット』(講談社)グレゴリー・ケズナジャット著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『言葉のトランジット』(講談社)グレゴリー・ケズナジャット著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、ジャンルもわからないままに、なんとなく手に取った一冊。きっとタイトルにある「言葉」の文字に引っかかったのだと思います。著者名の後に訳者名が入っていないと気が付いたのは、本を開いた後でしたが、英語を母国語とする著者は、わたしが知らなかっただけで、日本語でいくつもの小説を書き、いろいろな文学賞を受賞したり芥川賞の候補にも入ったりしている方でした。そういえば『鴨川ランナー』という本のタイトルは、見覚えがあります。

講談社の公式サイトで「英語を母語としながら、日本語で創作する著者だからこそ見えてくる」と紹介されている本書は、著者初のエッセイとのことです。実用書か小説かなという感じで、エッセイだと思わずに手に取りましたので、エッセイよりも小説を先に読みたかったなぁ、という気もしましたが、このエッセイを手に取ったからこそ著者の存在を知ることができたわけで。つい先日読んだ、小川哲さんの『言語化するための小説思考』を手に取ったときと同じパターンです。さっそく今後に向けて図書館蔵書チェックしたところ、著者の小説を何冊も発見し、安心したところです。

さて『言葉のトランジット』。まず、とてもやさしい語り口に引き込まれました。音読で本書を聴いたら、きっと心地よいだろうな、という感じ。随所に「日本語を流暢に操る外国人」であるご本人の実際と、そうと知らずに「外人さん」として相対する日本人との間に生じるコミュニケーションの微妙なズレいうか、勘違いというか、に対する気遣いの細かさが感じられて、読んでいるわたしまでがソワソワとするような場面がいくつもありました。自分ももしかしたら、まわりの外人さんに、こんなふうに気を使わせていることがあるのかもしれないな、と。

小川哲さんの『言語化するための小説思考』でも感じたことでしたが、小説を書く人の、言葉に対する嗅覚というか触角というか、感覚的なことと、哲学的な思考とが垣間見える、とても面白い読書でした。

『言葉のトランジット』(講談社)グレゴリー・ケズナジャット著