雑感諸々-豊村酒造旧醸造施設活用事業「藤吉憲典個展 酒の器、祝の器」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

雑感諸々-豊村酒造旧醸造施設活用事業「藤吉憲典個展 酒の器、祝の器」

国重要文化財指定・豊村酒造旧醸造施設での個展が無事に終わりました。蓋を開けてみれば、期待以上にたくさんの方がご来場くださいました。週末三日間だけの開催ではありましたが、主催ギャラリーさんにお任せの通常の個展と異なり、自ら「それまでに準備の必要なこと」がまぁまぁありましたので、まずは大きなトラブル無く終えることができて「ホッとした」というのが、正直なところです。

「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」ご来場、誠にありがとうございました!

今回の個展は、重文・豊村酒造を管理する津屋崎豊村喜三郎記念財団さんとの共催事業とあって、間に立ちコーディネートしてくださったひかりのみちDMO福津さん、実働的に積極的にサポートしてくださった豊村酒造の若旦那さんのご協力が、とても大きかったです。豊村さんで「展示による公開」という活用方法を取り入れたのは、今回が初めてということで、いわばテストケース。皆さんあからさまに言葉に出してはおっしゃいませんが、活用を検討するに際して「施設の文化的価値を損なわない」ことが重視されていたのは明白でした。

市の文化財課から、担当職員さんが連日足を運んでくださり、作家たるダンナとたくさん話ができていたことが、良かったです。肥前磁器もまた江戸時代からの歴史を持つ文化的資産のひとつ。文化財活用として、単純に人が集まるイベントを考えればよいというものではなく、歴史とか伝統とか文化とか、そういうものを大切にしていく土壌を培っていく場・方法として、重文施設の活用が生かされることが期待されていることが伝わってきました。

そのような意味では、手前味噌ではありますが、肥前磁器の伝統文化・技術を現代に生かした藤吉憲典の作品を展示することができたのは、とても理に適っていたように思いました。明治時代にできたという豊村さんの重厚な空間に、古い(大正から昭和初期ごろ)の漆器のお膳等を持ち込み、そこに和食器(今回は酒器と祝の器を中心に)をセッティングする方法は、このイベントのお話をいただいた時から頭のなかでイメージができていました。そして、たぶん、ぴったりうまくいったと思います。

と、少々堅苦しく書きましたが、どれもこれも、花祭窯が日ごろからお世話になっているこの津屋崎千軒エリアが、そういう文化的な素地を持っているからこその恩恵です。このように良い形で関わることができたことに、心より感謝です。ありがとうございました。

読書『にんたまジャムで作る免疫力スープ』(ブックマン社)村上祥子著

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読書『にんたまジャムで作る免疫力スープ』(ブックマン社)村上祥子著

いつものカメリアステージ図書館、貸出カウンター横にある「月替わりの特集テーマ棚」より。「月替わりの特集テーマ棚」というのは、わたしが勝手に名付けました。「新刊棚」と並んで、借りる本を選ぶときの強い味方です。急いでいるときは、この二つの棚だけ見て選書することも多々。短時間で、興味のある本を手に取ることができます。

さて料理研究家の村上祥子さんは、福岡を主拠点としてご活躍中ということもあって、ローカルメディアでよくお名前をお見かけます。80歳を過ぎてなお精力的にご活躍なさる姿は、「ちゃんと食べてちゃんと生きる、そして生涯現役で過ごす」という氏のポリシーに強い説得力を与えています。料理関係の著書はもちろんたくさんあり、なかでも電子レンジを使った簡単料理や、タマネギの効能に注目したものが有名です。

「にんたまジャム」というのは、村上祥子さんが発案・命名した、にんにくとタマネギをミキサーにかけて煮詰めたもの。本書には、そのにんたまジャムを活用したスープのレシピがたくさん載っています。春夏秋冬と季節に合わせたレシピが各2週間分。どれも旬を取り込んだ具沢山のレシピなので、これ一杯で十分!という感じがします。わたしはミキサーを持っていないので、にんたまジャムをつくるなら、細かく刻むかすりおろすかだなぁ…と思案中。ただ、タマネギとニンニクがとっても体に良い!ということがあらためてわかりましたので、まずはジャムにしなくてもどんどん料理に取り入れたらいいですね。

これは「買い」の一冊です^^

『にんたまジャムで作る免疫力スープ』(ブックマン社)村上祥子著

「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」ご来場、誠にありがとうございました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」ご来場、誠にありがとうございました!

国重要文化財指定・豊村酒造旧醸造施設活用事業「藤吉憲典個展 酒の器、祝の器」は、無事会期終了いたしました。師走の週末でしたので、集客は難しいかもと思っていましたが、会期中は連日50人を軽く超えるお客さまが津屋崎までご来場くださり(途中で数えきれなくなりました…^^;)思いがけずたくさんのお客さまにお会いすることができました。ご来場、お買い上げくださいました皆さま、誠にありがとうございました!

ふだんは文化財ツアーでも入ることができない奥座敷までお借りしての展示は、その重厚な空間が器の設えとぴったり合って、なかなか心地の良い空間になったと思います。お客さまも、ゆっくりと時間を過ごしてくださる方が多く、貴重な機会を楽しんでいただけたようで、嬉しかったです。

重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」
重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」
重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」
重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」
重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」

今回たいへんお世話になりました豊村酒造の若旦那と、施設を管理する津屋崎豊村喜三郎記念財団さんと、ひかりのみちDMO福津さんに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました^^

読書:朝井リョウ氏の著作を遡っていたら『桐島、部活やめるってよ』に辿り着いた。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書:朝井リョウ氏の著作を遡っていたら『桐島、部活やめるってよ』に辿り着いた。

11月に読んだ『イン・ザ・メガチャーチ』が面白かったので、朝井リョウ氏の著作を遡ることにしました。幸い、いつものご近所カメリアステージ図書館で探してみたら、蔵書が何冊も。しばらく朝井リョウワールドを楽しめそうです。ストーリーが興味深くて、重いテーマはあっても、堅苦しくなくてサクサク読めるので、休憩時間に最適で良いですね。

気が付いたら『スター』『何者』『ままならないから私とあなた』『武道館』『桐島、部活やめるってよ』とけっこう読んでいました。映画の『桐島、部活やめるってよ』は、この人が原作だったのね!と今頃つながり。公開当時、映画を観た人が「ところが『桐島』の話ではないのだよ」と言っていた意味が、今頃わかりました。それにしても『桐島、部活やめるってよ』のつくりにびっくりでした。著者大学在学中のデビュー作なんですね、遅ればせながら「すごいなぁ~!」です。

スクールカースト、アイドル、推し活…わたしにとっては、現代の現在をうかがい知るのにちょうどよい小説の数々でした。そして、まだまだ未読の小説がたくさん残っていますので、楽しみは続きます。年末年始に向けて、図書館が冬休みに入る前に、また借りてこようと思います^^

「陶片ミュージアム」の第一歩となる資料展示棚(箪笥)が到着!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「陶片ミュージアム」の第一歩となる資料展示棚(箪笥)が到着!

陶片ミュージアム@花祭窯始動に向けて…のブログをアップしていたのは、9月末のことでした。それから二カ月ほどたった十一月中旬、大川家具ドットコムさんにお願いしたセミオーダーの収納タンスが、花祭窯に到着いたしました!本来は、着物箪笥として開発された商品とのことで、桐材を用いています。着物=和、のイメージにとらわれず、洋間に置いても決まるデザインを考えたということでした。

陶片ミュージアムの第一歩となる資料展示棚

ショールームでサンプルを拝見した時も素敵だと思いましたが、シンプルながらスタイリッシュな佇まいに、注文してよかったとつくづく嬉しくなりました。あとは、中身を整えていくばかり。間仕切りをどうしようかというのを、ずっと考えていたのですが、頭で考えていても埒が明きませんので、とりあえずはどんな方法が考えられるか、探してみることに。

当初、引き出し整理用の仕切りに使えそうな、透明なプラスチック製品があるかな、と想定していたのですが、自分の考えているようなものはなかなか見つからないことが判明。単純に「仕切り板」と考えたら、プラスチックよりは木の方が合うかも…という考えに至りました。そもそも今回手に入れた箪笥は桐製なので、桐を使うのが一番合うかもしれません。

などと、あれこれ考えつつ決定打が無い状態でしたが、ロンドン出張で訪れたヴィクトリア&アルバート博物館で、いい感じの引き出し型の展示を発見!

ヴィクトリア&アルバート博物館

下地にクッションになる材質を敷き、その上に資料を並べ、資料に応じてテグスのような透明な紐や金具などを用いて、クッションに留めています。これなら、間仕切りは必要ありません。引き出しのなかで動かないように、と考えたときに、とても理に適っていると思いました。クッションとなる下地が滑り止めの役割も果たしますので、テグスで留めなくても、引き出しの開け閉めくらいでは資料が動き回ることはなさそうです。うちの場合は、資料を手に取って見てもらうことを前提としているので、留めずに配置するのが良さそうです。

というわけで、約一カ月ぼんやりと考えていたところに、光明が差しました。方法が決まりましたので、あとはクッション材を確保して、実際に並べていくばかりです。年内に、資料館(資料棚)をご紹介できるよう頑張ります^^

花祭窯の十二月(師走)の露地-いつの間にかサザンカが咲き始めていました。

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花祭窯の十二月(師走)の露地-いつの間にかサザンカが咲き始めていました。

12月の頭からロンドン出張に出ていましたので、11月終わって帰ってきたらもう12月中旬!という感じで、少々焦りつつある今日この頃です。具体的にどうということではなく漠然とした焦りなので、我ながらカレンダーの数字に惑わされているなぁ、と思いつつ(笑)。そんななか庭に目をやると、サザンカがぽつぽつと咲き始めているのを発見!

サザンカ

ツワブキもまだまだ黄色がきれいです。

ツワブキの花

干し柿も順調に育っております。

干し柿

ナンテンはすっかり色づきました。

南天

小さいながらも庭のある嬉しさ有難さ。あとは花祭の草刈りにも行きたいのですが、年内に時間が作れるかな、どうかな、というところです。

今週末は、重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」です♪

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今週末は、重文・豊村酒造さんで「藤吉憲典個展-酒の器、祝の器」です♪

いよいよ今週末に迫ってまいりました。豊村酒造さんの旧醸造場施設が国の重要文化財に指定されたのは、2024年1月のこと。重文に認定されると、保存の義務が生じるとともに、近年では活用の義務も大きくなってきているということで、その一環としてお声がけいただきました。

重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-特設サイト

展示での活用は今回が初めてということで、その一発目。とてもありがたいことです。開催が決定してから、豊村酒造の若旦那と、施設を管理する津屋崎豊村喜三郎記念財団さんと、ひかりのみちDMO福津さんと、連携しながら準備を進めて参りました。花祭窯としても、津屋崎でこのように展示をするのは、工房を移転してきてすぐのころ以来ですので、ほんとうに久しぶり。ぜひ一人でも多くの方に足を運んでいただけると嬉しいです。

豊村さんの祝い酒と、藤吉憲典作の干支の盃に、藤吉憲典デザインの「津屋崎千軒の手ぬぐい」がおまけについた、数量限定(10セット)のお得な特別セットをご用意して、皆さまのお越しをお待ちしております^^


重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-

会期:2025年12月19日(金) – 12月21日(日)
時間:10時 -16時
場所:豊村酒造 福岡県福津市津屋崎4-14-18

重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-

重文豊村酒造活用事業 藤吉憲典個展―酒の器、祝の器-特設サイト

週末の三日間。豊村酒造さんの奥座敷まで入ることができる貴重な機会です。ぜひお立ち寄りくださいませ。

2026年1月に予定していた北京での藤吉憲典個展は延期になりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2026年1月に予定していた北京での藤吉憲典個展は延期になりました。

2024年夏に初個展でお世話になった北京のギャラリー喜水さん。次回は春節の前あたりに開催したい、とおっしゃるオーナーさんと日程調整をし、2026年1月中旬からの開催で準備をしておりました。前回の個展では、藤吉の在廊中に中国茶の先生がずっと美味しいお茶を入れてくださり、いろいろと学んできましたので、今回は中国茶器をたくさん作って送るように計画していました。

茶器以外の器も華やかな顔ぶれがそろい、年末年始の物流に配慮して、余裕をもってそろそろ発送手配をしようかというところに、「少し待ってください」のご連絡。喜水さんへの発送は、日本で対応してくださる代理人さんを通して行っていますが、どうやらここ1~2カ月で、日本からの荷物が税関で止められ何の説明もなく送り返されてくる、という事態が急に頻発しているとのこと。お互いに「なぜ」のところは暗黙の了解で、少し様子をみたほうが良いでしょうね、となりました。

様子を見ていてもすぐに改善しそうな気配はなく、延期したほうが良いかもしれませんね、ということになりました。作品がギャラリーに届かない事態になることが想定できるままでは、リスクが大きすぎます。せっかくの展覧会の機会ですから、できるだけ要らぬ心配のない状態で開催したい、というのが双方の想い。楽しみにしてくださっていた北京の皆さまには、もう少しお待ちくださいね♪ということで。

↓下の写真は、前回のギャラリー喜水さんでの個展の時に撮ったもの↓

北京喜水ギャラリー 藤吉憲典作品展

福岡県中小企業ステップアップ支援事業「サッシン・ベース」ワークショップ第四回目。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡県中小企業ステップアップ支援事業「サッシン・ベース」ワークショップ第四回目。

福岡県の商工部スタートアップ推進課からご案内をいただき、8月から参加している支援事業「サッシン・ベース」の第四回目。ワークショップはこれが最終回ということで、この先はピッチ資料の作成に入ります。そのピッチ資料=事業計画を充実したものにするためにも、ワークショップで一つでも多くを自分のものにしたいところです。

講師はサイボウズの岩越崇史さんで、テーマは『PoCと事業連携について』。で、例によってわたしは、まずは「PoC」って何だ?から(笑)。ググってみたところ、野村総研さんのサイトで「概念実証」という説明が出てきました。いわく「PoC(読み:ピーオーシー/ポック)とは、Proof Of Concept(プルーフ・オブ・コンセプト)の略で、日本語では「概念実証」と訳されます。新しい手法などの実現可能性を見出すために、試作開発に入る前の検証を指す言葉です」(野村総合研究所サイト、用語解説より)ということで。

堅苦しい言葉はさておき、講師の岩越さんのことばを借りれば、要は「小さく、たくさん、仕掛ける(試す)」ということのようです。こう言い換えると、とってもやさしくわかりやすくなりますね。岩越さんのお話は、全体を通じてとても分かりやすくて、質問をしやすい空気があって、すごいなぁと思いました。ワークショップでは、事業連携とか何かを個人で考えたり、グループで意見を出し合ったり、発表したり。頭を使って手と口を動かして、和気あいあいと、楽しいワークショップになりました。おかげさまで、すぐにやるべきこと、できることが明らかに。1時間半という短い時間でも、時間配分と心遣いで、大きな成果が得られる時間になるのだなぁ、とありがたく感じました。

以下、備忘。


  • 自分に無い「手」を、持っている人から借りる。
  • 時間を買う。持っていない力を借りる。技術・ライセンス・設備・ブランドetc
  • いかにブランドを毀損せずに売っていくか。
  • 例えば…スタバ×TSUTAYA→「コーヒー片手に本を読む時間」。
  • 実現したいのは何か。
  • そもそもビジネスとして成立するか。
  • 人。
  • 実績という名の手土産。
  • 実績とは、データ・数字などを伴う、明確な成果。
  • 実績は作るのではなく「現場から拾ってくる」。
  • 小さく、たくさん、仕掛ける。
  • お金をかけない、時間をかけない、まずやる!のスピード感。
  • 1000万円を1回ではなく、10万円を100回。
  • あちらこちらに「味方」をつくる。一人でも多く。
  • 最高の売り場はどこか。その場所を持っているのは誰か。その持ち主が抱えている課題は何か。
  • 実績を現場から拾ってくるには、買ってくださるお客様の解像度を上げていく。
  • (お客さまは)うちの商品と一緒に何を購入しているか。うちの商品を購入する前後の出来事・行動は。
  • 提携は、タイミングと人。

(『PoCと事業連携について』サイボウズの岩越崇史さんのお話より)


「事業提携」には、小さなコラボから大規模な提携まであらゆる分野・規模のものがあって、わたしが現在考えるていること・考えるべきこともまた、「事業提携」なのだということが明確になりました。ありがとうございました!

ロンドン出張備忘録 December 2025番外編-機内にて映画5本。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ロンドン出張備忘録 December 2025番外編-機内にて映画5本。

12月。今年も「映画館で観る」をあまりできなかったなぁ…という反省を抱えていたところに、国際線機内での片道13時間ほどを活用して映画鑑賞ができました。いずれも過去年の作品ですが、往復各3~4本を観ることができて大満足!のなかから、特に面白かった5本をピックアップ。

キングスマン・ゴールデン・サークル(2017年)

ロンドンに行くのだから、まずこれでしょう!と勝手に決めた1本目。映画『キングスマン』の続編ということで、そもそも1作目から観ていませんでしたが、そのうち観たいな、と思っていたシリーズです。期待通りの痛快さ、お洒落さで、大満足。キングスマンの本拠地であるテーラー(スーツの仕立屋)のモデルとなっているお店は、ロンドン・メイフェアにあるらしいのですが、確かにその周辺にはテーラーだけでなく、靴、傘とステッキ、カバンなど、紳士の「お誂え品」をつくるお店が並んでいます。SLADMOREがあるセントジェームズストリートのエリア(上の写真はその一角です^^)も同様で、映画の中の世界と重なり、とても楽しめました。

生きる LIVING(2023年)

2023年の劇場公開時に観に行った1本です。黒澤明監督の名作を、カズオ・イシグロが脚本を書いてリメイクされた話題の映画。劇場で観てとても良かったので、もう一度。映画がスタートしてすぐに、ピアノの美しい音色が耳に留まりました。へぇ、こんなにきれいな音楽が流れていたっけ、と、映画館で観たときはあまり印象に残っていなかったことに驚きました。自分の意識がどこに向いているかで、同じ映画を観ても見えるもの(聞こえるもの)が変わってきますね。映像は全編を通して美しく、やはり良い映画でした。

イタリアは呼んでいる(2015年)

英国人中年男二人による、イタリア縦断グルメ紀行。コメディです。思わずプッと吹き出してしまうシーンがいくつもちりばめられ、滑稽さをまといながらもさりげなくお洒落な主人公二人は観ていて飽きず、面白くも切ないというか、切なくも面白い映画でした。イタリアの景色の美しさ、食べるシーンだけでなく作るシーンも目に楽しい、おいしそうな料理の数々、そして中年男二人の掛け合い漫才のような会話。個人的に、かなり気に入った映画でした。大きいスクリーンで観たら、景色の見ごたえがあっただろうな、な1本。

ダージリン急行(2008年)

監督はウェス・アンダーソン。最近何か観たような気がする、と調べたら、2022年に観た『フレンチ・ディスパッチ』が、ウェス・アンダーソン監督作品でした。この監督はこんな風なのですね。本作はジャンル分けするとコメディになるのだと思いますが、なんともいえないシュールさと、時折盛り込まれるバカバカしさが、中毒性を感じさせる映像でした。主人公の三人兄弟がそれぞれに抱える、家族・兄弟に対する愛憎というか葛藤というか、の描かれ方が絶妙でした。好き嫌いはありそうですが、わたしにはとても面白かったです。

アメリカン・フィクション(2024年)

コメディ映画と評されています。たしかにコメディというかブラックユーモアな要素が盛りだくさん。人種差別・LGBTQなど現代の社会問題を主題に描いた映画でした。観はじめてすぐに頭に浮かんだのは、少し前に読んだ、小説『ハックルベリー・フィンの冒険』を皮肉った(?)『ジェイムズ』でした。「白人が期待する黒人像」というテーマは、小説『ジェイムズ』が舞台とした時代(奴隷制度のあったころ)から現代まで、結局なにも変わっていなのか、と。『ジェイムズ』が刊行されたのも2024年ですので、そういうことを声を上げて言える社会になってきた、ということなのかもしれませんね。

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こうして振り返ると、コメディばかり観ていることがわかりますね。というわけで、映画館に足は運んでいませんが、今年の鑑賞記録がグーンと伸びた機内映画でした^^