こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『ある一生』(新潮社クレストブックス)ローベルト・ゼーターラー著/浅井晶子訳
先日初めて読んだ、著者の『名前のないカフェ』の読後感の温かさにひかれて、ローベルト・ゼーターラー氏の著作を追っかけることに。いつものカメリアステージ図書館で検索をかけたら、何冊か出てきました。ありがたいですね、さっそく予約して借りて参りました。
主人公エッガーの視点で淡々と語られる、彼の一生の物語。新潮社の公式サイトでの本書の書評に、作家の池澤夏樹氏が「普通の男の特異な生涯」と書いていて、それがあまりにもぴったりでした。エッガーの生涯には、養父の暴行によって一生残った足の不自由、若妻との雪崩による死別、ロシアでの8年間の捕虜生活と、かなり過酷な出来事があったにもかかわらず、それらがあたかも特別なことではないかのように淡々と受け止めて(受け入れて)いるように、物語は進みます。
劇的に描くことも出来そうな生涯を、自身に起こった災難を格好良く受け流しているというのでもなく、「ふつう」に生きる姿。それがどうしてこんなに感動するのだろうと、とても不思議でした。この感覚を上手に説明する言葉は見当たらないのですが、本書は80万部を超えるベストセラーになっているそうで、国や文化を超えて共感を誘うものがあるということなのだと思います。
池澤夏樹氏の書評にある「来るものをすべて受け入れ、来なかったものを思わない」主人公の美質が、読後の満足感につながっているのかもしれません。





