NEW PORCELAIN SCULPTURE by Kensuke Fujiyoshi @ SLADMORE CONTEMPORARY

「必要」か、「選択」か。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「必要」か、「選択」か。

「必要」の結果ではなく、「選択」の結果であることが重要だというメッセージ。先日観てきたばかりの映画『アムステルダム』からの問いかけが、頭に残っています。

映画の中で問われていたのは、人間関係における位置づけでした。一緒にいるのは「必要だから」ではなく「一緒にいたいから」であって欲しいというのは切実な想いだよなぁと思いつつ、このセリフが繰り返されるたびに、わたしの頭はついつい仕事のことを考えておりました。

そもそも花祭窯が提供しているのは、必要なものというよりは、アムステルダム風に言うならば「選択」のもの。アート作品はもちろん、食器であっても、それが無いとどうしても困るという類のものではありません。だからこそ、そのものに対する特別な愛着・情熱が不可欠です。

選ぶ人に合わせるのではなく、合ったものを選んでもらう。そのためには、選ぶ人の前に、合うだろうものを差し出すことが出来ているか、が一番の肝となります。誰の前に出すか、どこに出すか。そして、そのモノの性質をよく見てもらえるように、準備・工夫が出来ているか。

対価として比べられることなく、純粋に「これが好き」と選んでもらえることは、人だけでなく、モノにとっても嬉しいこと。そのためにも出会いが大切なのだよね、と、この仕事を始めて以来ずっとある命題を、あらためて考えたのでした。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。