染付傘文蕎麦猪口 藤吉憲典

あらためて文様について調べるきっかけ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

あらためて文様について調べるきっかけ。

肥前磁器、なかでも特に蕎麦猪口の文様の多様さ面白さに惹かれて『蕎麦猪口の文様小話』なる小冊子をつくり自費発刊したのは、2004年のことでした。こんなマニアックな小冊子、欲しいと言ってくれる人がいるのだろうかと思いながら、当時発行していたメールマガジン「蕎麦猪口蒐集」の読者の方々に喜んでいただけたら、と作ったのでした。

そんな、わたしにとってのライフワークのひとつでもある「文様」について、久しぶりにたくさん質問を受ける機会がありました。理解していること、覚えていること、きちんと説明できることがある一方で、「あれってどうだったかしら?」ということも少なからずあり、あらためて調べ直すきっかけとなりました。「他者に伝える」のは、自分にとって最高の学びになりますね。専門家としていい加減なことは言えませんので、ひとつひとつ資料にあたることになります。

資料を開けば「ああ、そうだった!」ということや「あれ、今まで気が付かなかった!」というものがどんどん出てきます。そういえば17年前もさまざまな資料にあたりました。やきものや肥前磁器の古い文献資料・研究書・学術書はもちろん、着物など他の伝統工芸における文様の資料、はては歳時記や植物図鑑、江戸時代の風俗文化に関する本まで。

今は、手元に持っている資料も、どこに行けば関連資料を手にできるかという知識量も、当時より増えていますので、さらに調べ甲斐があります。文様について調べ直しまとめ直して形にすれば、単純に文様の知識として便利だというだけでなく、陶片ミュージアムを解説する資料としても価値が生まれそうです。

ということで、17年ぶりに「文様小話」を作り直すことに決定。タイトルは変わると思いますが。そして、単に知識を調べて集めるだけではなく、諸説に対するより深い考察をして、自分なりの解釈を展開することができるのではないかとも思います。年内に完成するといいな、と思いつつ。きっかけとなる「たくさんの質問」を投げかけてくださったKさんに、心より感謝です。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。