お茶の本

こんにちは!ふじゆりです。

本日のタイトル「お茶の本」、そのまま本のタイトルです。

花祭窯でお抹茶

原題は「The book of Tea」、岡倉天心(岡倉覚三)が英語で書いた本です。

これは前回のブログで書いた
福原義春さんの『美-「見えないものをみる」ということ-』
のなかで紹介されていた本のなかの1冊でもあります。

The book of Tea

いくつかの出版社から出ています。
もともと英語で書かれたものなので
左頁に日本語、右頁に英語で、原文を確認しながら読めるこの本にしました。

「お茶の本」とありますが
実際には、お茶をとおして、禅(道教)の教えや、芸術のことなど
より広い視野で日本人の文化・精神性を説いた本です。

茶道に入門しているものとして学びの多い本であったのはもちろん、
個人的につぼにはまったのは、第五章の「芸術鑑賞」における岡倉天心の嘆き。

「昨今の芸術熱は上辺だけのもので、本物の感情に根ざしていないのが残念でならない」
「この民主主義という時代では、自分がどう思うかでなく、世間が良いと考えるものに人が殺到している」「人々は洗練されたものより値段の張るものを、美しいものより流行のものを求める」
「作品の質よりも芸術家の名前ばかりが重要視されている」
「収集家は(中略)分類することに必死になり過ぎて、芸術を少しも楽しんでいない」
「われわれは生活のなかの美を破壊することで芸術をも破壊している」

この本が出版されたのは1906年。
100年以上も前に、すでにこのような憂いがあったとは・・・。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。