こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
キース・へリング展「アートをストリートへ」を見て参りました―まるっと一日、福岡市美術館デー。
9月に郷育カレッジで講座を担当する「知識要らずの美術鑑賞」のために、福岡市美術館での打ち合わせ。打合せは午後からでしたので、午前中から足を運んで、開催中の「キース・へリング展」を見て参りました。
キース・へリング展「アートをストリートへ」(福岡市美術館)
そもそもは、昨年の学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」でのこと。山梨県にある「中村キース・へリング美術館」の学芸員さんによる「社会課題と向き合う美術館活動」の実践報告の発表を聴いてディスカッションするという、稀有な機会に恵まれました。そのときに「来年は福岡市美術館で展覧会があります」と聞いて、楽しみにしていたのでした。
キース・へリングが向かい合った(’80年代当時の)社会課題と、彼の社会活動の「いかに」がバンバンと伝わってくる展覧会でした。展示を通して響いてきたのは、思っていたよりも「もっと重く、もっと切実」な、キースの叫び。「イコンズ」と名付けられた、ポップでカラフルなアイコニックな作品が、キース・へリングを印象付けるものとして有名ですが、その奥にある危機感が迫ってきました。
会場は一部展示室を除いて、写真OK(フラッシュ撮影や動画はNG)でしたので、今回のわたしに響いた「これ!」を、以下にちょっぴりお裾分け。写真NGの部屋は、1988年来日の際の東京でのイベント資料を展示したものでした。ちなみにダンナは当時東京でグラフィックデザイナーをしていて、「生キース・へリング」をその時に見ていたとのこと。そんな話を聞くと、自分たちの少し先を走っていた方なのだなぁと、実感します。
わたしは、表面的に社会的な課題をちりばめた「現代アート(コンテンポラリー)」と呼ばれているものに懐疑的なのですが、今回の展覧会を見て、これこそが「いわゆる現代アート」なのだと分かりました。考えさせられ、見応えのある展覧会でした。
キース・へリング展「アートをストリートへ」(福岡市美術館)は、会期残すところちょうどあと一か月9月8日(日)です。おススメです。
山梨県にある「中村キース・へリング美術館」にも、そのうちぜひ行ってみたいと思います。