スタート地点に立ちましたね。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

スタート地点に立ちましたね。

たびたびこのブログにも書いていますが、博多の円覚寺で受け継がれている茶道南方流に入門しています。昨日はその懐石茶会の日でした。毎年春の恒例行事で、わたしも入門の翌年から参加しています。

今年はまったく景色が異なりました。というのも、今回はなんと亭主として参加したのです。入門から六年。こんな日が来るとは、一晩明けた今も、なんだか不思議な感じです。

この懐石茶会は正式には「初伝披露懐石」と呼ぶそうです。一定のお稽古を積んだ段階で先生から声がかかり、日頃の成果を披露する「稽古懐石」。お稽古の一環だから大丈夫ですよ、と先生方はおっしゃってくださったものの、特に年が明けてからの二か月間は、試験を控えた学生時分に戻ったような緊張感でした。

お炭手前からはじまり、お料理の給仕、濃茶手前、薄茶点前。利休さんのいう「二時(ふたとき)を過ぎず」すなわち「ふたとき=四時間を越えてはならない」のとおり、ちょうど四時間ほどでおさまる席になります。

お手伝いで参加していたときは、亭主を務める皆さんの集中力のすごさにただただ感嘆していました。いざ自分で務めてみると、やはり四時間集中し続けるのはたいへんなことでした。今振り返ってみると、お料理の給仕が済んだころ=時間にして二時間ほど経った頃には、緊張はしているのに集中が切れてしまっていたように感じます。

お客さまをもてなす大切な濃茶手前・薄茶手前はその後にあるのですから、まったくもって修業が足りていないことを痛感しました。後座(濃茶・薄茶)の手前をなんとかやり通したものの、席に入って見守ってくださった先生がどれほどハラハラなさったか、申し訳ないかぎりです。

片付けまですべて終わり、師匠である和尚様にお礼のご挨拶に伺ったときにかけていただいたのが、タイトルのことばです。そうです。やっと、スタート地点。亭主を務めることによって、自分に足りないものを強烈に自覚することもできました。ここからまた、お稽古を積んで参ります。

お稽古を付けてくださった先生方、茶会開催の段取りを進めてくださった本部の方々、前日から当日にかけての準備と運営をサポートしてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。そして、わたしの遅々たる茶道精進を見守ってくれる家族にも。

2019年3月10日は、わたしにとって大切な節目のひとつとなりました。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。