こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
十二種類の向付(むこうづけ)、続々完成中―肥前磁器作家・藤吉憲典の仕事。
制作における新しいチャレンジとして「十二種類の向付の新作制作」に取り組んでいます、とご紹介したのは約ひと月前のことでした。
やきものの制作工程は、ざっとこんな感じ
土こね→成形→素焼→下絵付(染付)→施釉→本窯焼成→上絵付(赤絵)→赤絵窯
で、現在は染付が出来上がった段階まで来ております。
※制作工程の詳しくは、以前にまとめた記事がありましたので、よかったらご覧くださいね↓↓
さて、向付12種類。すべて新作になるため、染付の呉須(ごす)と釉薬の種類の組み合わせがデザインと合っているか、確認する仕事も入ります。作家の頭のなかでは、窯に入れる前に完成イメージが出来上がってはいるものの、実際には「ほぼ思惑通りに上がった」というものと「ここは、こうした方がよかった」というものとが出てきます。「こうした方がよかった」の方は、呉須と釉薬との組み合わせなどを修正して、次回の窯にのぞみます。
向付とは、懐石料理に用いられる器のひとつで、お刺身など酒の肴(「お向こう」と呼ぶそうです)になるものを盛り付ける器です。お膳の向こう正面に置かれる、いわばメインの器。わたしたちも、食事をしに行くときには、料理人さんの器使いが楽しみのひとつですが、向付にインパクトがあると、やはり「おお!」となります。そもそもなぜ12種類と思ったのかといえば、和食では季節ごとに器を変えるから。ある料理人さんとお話をしていて、春夏秋冬の四季では実は足りなくて、12か月で使い分けたいし、もっと欲を言えば、1カ月に2種類あっても良いということを伺ったからです。
たしかに食材を考えても、半月違えば旬が変わってくるものもたくさんあります。ならば、ということで、まずは12種類の新作に挑戦しているのでした。ところが面白いもので、作り始めると次々に案が出てくるようです。結果、カタチだけでも12種類以上が出来上がっていて、そこに染付・赤絵・染錦と文様の組み合わせを加えたら、20種以上になりそうな勢いです。
実物をご覧いただけるのは、7月から。銀座黒田陶苑さんでの個展と、博多阪急さんでの個展がスタートになります。それぞれの個展のご案内は、またあらためて。ぜひ楽しみにしていてくださいね。
藤吉憲典の制作活動のようすは公式インスタグラムで!https://www.instagram.com/ceramicartist_kensukefujiyoshi/