こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
博物館リンクワーカー人材養成講座 2023。
九州産業大学地域共創学部の緒方泉教授が音頭をとり、毎年開催してくださっている講座です。「博物館リンクワーカー人材」というキーワードがタイトルに入ったのは、2021年からですが、学芸員技術の向上と美術館博物館施設の地域社会への貢献を目指した数々のプログラムに、もう7年もお世話になっています。
今年度もオンラインでの開催です。そもそもはコロナ禍下で集合研修が出来ない!という状況からのZoom活用だったと記憶していますが、Zoomのおかげで、11月から12月にかけて毎週6回の連続講座に、九州のみならず全国から学芸員・関係者が参加するという、稀有な連続講座に育っています。これって、実はとてもすごいことだと思います。
冒頭30分間、担当講師によるテーマ発表があり、そののち3-5名のグループ「語り場」に分かれて意見交換情報共有。その後、各グループからの発表でフィードバックという次第です。第1回目は九州産業大学美術館の学芸室長・中込先生と、香椎丘リハビリテーション病院のソーシャルワーカー・藤さん。数年前からスタートしている、美術館とリハビリテーション病院両者の連携についての発表でした。わたしは残念ながら第1回は参加できませんでしたが、後日動画で共有してもらえるはずですので、発表を拝聴するのを楽しみにしているところです。
第2回は甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』でした。上の写真は、花祭窯のある津屋崎で民具の集まる場所、登録有形重要文化財「藍の家」。
以下備忘。
- 「美術(館)サービス提供者自身の健康」という視点。孤立を防ぐ。
- 慢性的・全国的な課題「満タンの収蔵庫」「未整理民具の山」「人手不足」。
- 民具➜地域回想法。
- 市民向け映像コンテンツの制作➜「民具図鑑」。
- 行政各部署、市民団体等との協力=役割分担・負担分担による「持続可能化」。
- 民具+α:民俗学、歴史学、地域密着情報、最新の研究動向、現代社会の動き…。
- 民具×○○のコラボ。
- 「民具を守る仲間」を増やしていく。
- 「緩やかな保存」の視点。民具を使いながら保護していく。
- 「ひっかかり」を作ることにより、興味を引く=「民具図鑑」動画において「オチ」も大切な構成要素。
- 民具図鑑を観る➜資料館に足を運ぶ、小中学校が教材として採用する、博物館浴・地域回想法のアウトリーチを伸ばす…
- まずは学芸員自身が楽しんでできることが大切。
- 学芸員が楽しんでいる➜一緒に働く仲間も楽しくなる➜観てくれる人・館に来る人も楽しい。
- 増え続ける資料➜どう保存するか、どう活用するか。
- デジタル画像・ポジフィルムでのアーカイブ、動画でのアーカイブ。
- 地域全体で観たときの、資料保存の考え方。ランク付け、取捨選択。
甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』と、「語り場」より
甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」(YouTubeチャンネル)
民具を巡る「慢性的・全国的な課題」は、ここ福津市でも同じことです。「民具図鑑」の制作は、もしかしたらここでもできることかもしれず、なんとか提案できるといいな、と思います。