こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その2。
博物館リンクワーカー人材養成講座 2023、前回は甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』でした。
今回は、山梨県にある「中村キース・へリング美術館」の学芸員さんによる「社会課題と向き合う美術館活動」のお話。キース・へリングのコレクションを持ち、キース・へリング財団から日本で唯一認証されている美術館ということで、個人的には今年度の連続講座のなかで一番興味を持っていた回です。上の写真は、中村キース・へリング美術館のサイトから。https://www.nakamura-haring.com/
31歳という早逝のキース・へリングですが、ニューヨークでブレイク後、日本では1983年の初来日以降なんども展覧会が開かれ、本人も来日しています。ダンナ・藤吉憲典は、高校卒業後に上京して東京で最初に観た展覧会が、キース・へリングだったとのこと。この時は、へリング本人も来日していました。そんなふうに、我々世代にとっては、とても親近感ある存在です。
以下、中村キース・へリング美術館「社会課題と向き合う美術館活動」のお話より、備忘。
- キース・へリングが向かい合った(’80年代当時の)社会課題➜美術館としてその意思を継いで「今日的」な社会課題に向き合う。
- キース・へリング=アーティストであり、アクティビスト(政治的・社会的活動家)。
- 「展覧会活動」と「社会活動」の両軸。
- リスペクト&インクルーシヴ。
- 著作権から生じる利益➜財団➜社会活動資金:本人が没したのちも継続できる社会活動基盤の仕組みを作り上げた。
- ↑↓キース・へリングの作品は、既に社会に溶け込んでいる
- ↑例えば…各種ブランド等とのコラボ商品➜コピーライト商品によるのアートの拡散。
パブリックアートの大量設置➜「見たことがある!」機会の大量提供。 - Art is for Everybody.
- アートを見るために足を運んでもらうのではなく、日常の中にアートを出していく。
- 大切なのは、アートに興味のない人の「目に触れる」こと、「足を止める」こと。
↓中村キース・へリング美術館の取り組み↓
- 美術分野の専門家だけでなく社会課題に携わる専門家へのインタビュー、共同プロジェクト。
- 狭い分野の専門家から、個々の声を拾い上げ、発信する。
- 作家年表・世界史年表・日本史年表(+美術館として起こしたアクション)を一覧➜作品が生まれる裏にあった社会の動きが見え、作品・作家への理解が深まる。
↓「語り場」から↓
- 身近なところから取り組める社会活動がたくさんあり、そうと意識していないだけで、すでに取り組んでいる社会活動がたくさんある。
- 各館の取り組みをもっとアピールしていく必要性。
- 近年格段にやりやすくなってきている情報発信。継続的に取り組むには、まずは発信する側が楽しんでいるか。
- 資料・情報をどう見せるか、どう伝えるか。
- 社会課題と美術館をどうつなげていくか➜どの館にも必ず身近な社会課題との接点があり、それほど難しいことでは無い。
アートエデュケーターとしてだけでなく、現代にアーティストをプロデュースする立場としても、ものすごく考えさせられ、勉強になりました。山梨にある館に、足を運ぶ機会を必ず作りたいと思います。