こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
博物館学芸員研修「オンライン語り場」―「恐れず弟子をとれ!~博物館の最コアユーザーの育成~」に参加しました。
2016年からお世話になっている、九州産業大学の緒方先生が責任者を務める博物館学芸員のための技術研修会。令和6年度も文化庁「大学における文化芸術推進事業」連続講座・オンライン語り場が開催されました。今年度のテーマは「地域の子ども、若者を支えるミュージアム活動」。最終回は、沖縄市立郷土博物館の主任学芸員さんからの報告でした。
以下、備忘。
- 師匠はいますか?弟子はいますか?
- 「もの」を中心に、時間・空間・こと・人とつながる(つなげる)。
- 「恩師」との出会い。
- 引き継ぎたい時間の流れ。
- 背中を見せる・追いかける。
- 子どもの「体験格差」。
- 格差を縮小させることができる、公的施設での体験。
- 博物館の理念に共感する「コアユーザー」。
- 近隣施設との協力。
- イベント参加者ではなく、「調査隊員」。
- レポート(観察報告記録)を書くことで、より観察力が増す。観察力が増すと、レポートもよりレベルが上がってくる。の、好循環。
- 単なる体験イベントではなく、科学的な成果も残す。上がる。→論文の発表、成果の共有(動画など)。
- 科学者・研究者とは?-大学の研究者じゃなくても、在野でもできる!
- 学校に行けない子たち→博物館へ!!
- 来館者(弟子)も、学芸員(師匠)も、笑い合える場所。
- 同じ方向性を見つめ、師の作った道の延長線上に、さらに道を進めること。
- こんな仕事もあるよ!を示せる大人。
- いろいろな場所に、それぞれに「師匠」が存在する。
- 次の世代へ、の想い。空回りも多いけれど。
「恐れず弟子をとれ!~博物館の最コアユーザーの育成~」沖縄市立郷土博物館からの報告より
沖縄市での、子どもの教育環境に見られる問題点の提示からスタートした、今回の報告。「体験格差」の言葉が頭に浮かびました。経済的なゆとりが無いと、子どもに習い事や旅行などの体験をさせることが出来ないというのは、世の中がある程度豊かになったからこそ生まれた事態だとは思うものの、やはり切ないです。
公的施設である美術館博物館は、家庭での経済状況に関わらず、館に来る子どもたちに「体験」を提供できる場所です。その機能を最大に生かすことで「経済的な格差≠体験格差」を掲げていくことが出来る場所し、そうならなければならないと思いました。美術館博物館には、お金をかけた習い事や旅行などにも匹敵するような体験を、来館者に提供できるポテンシャルがあると信じています。
また参加者の自由な意見交換の場である「語り場」からは、芸員さんの立場の不安定さについての話がでました。日本の文化・教育行政の大きな課題ですが、現状がこうである以上、そのなかでいかに道を拓いていくかをそれぞれに考えて行くしかありません。報告者さんのお話のなかで「在野の研究者」という言葉が出ており、同様に「在野の学芸員」もアリなのです。もちろんそのなかで、いかに収入を得るかという問題は大きなものですが、現にわたしはフリーで動いているので、難しさと同時にたくさんの可能性・選択肢があることも感じています。これからは学芸員の在り方も、もっと自由になるように思います。
一番上の写真は、わたしが勝手に師と仰いでいる、齋正弘先生の著書。