こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
学芸員研修会「回想法」に参加して参りました。
九州産業大学の緒方泉先生が中心となって開催してくださる令和5年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」の学芸員研修会、第一弾「回想法」に参加して参りました。これまでにも「博物館リンクワーカー養成講座」などで学んできた「回想法」。今回は初めての対面での研修となりました。
今回の研修会場は、大宰府にある九州国立博物館。昨年の学芸員研修では「ユニバーサル・ミュージアム」の会場としてお世話になりました。
研修スタートは、「博物館浴」の実験から。九州産業大学・緒方先生がデータを収集している「博物館浴」の実証実験、その被験者を初体験。美術(博物)鑑賞をする前と後とで、血圧や脈拍、本人の自覚症状がどのように変化したかを測定し、有意差があるかどうかを調べるものです。これまでに全国50館以上の美術館・博物館での実験データを集め、全国的に関心を集めている実証実験です。今回は、データをとるところまでで、実験結果の考察は、また別の機会になります。
続く本日のメインイベント「回想法」講師は、北名古屋市歴史民俗資料館専門幹の市橋芳則先生。館の愛称が「昭和日常博物館」。細部にまでこだわった資料収集は1993年からスタートし、「昭和の回想」が可能な館を作り上げてこられています。筋金入りの実践者。昭和日常博物館での「回想法」の実践と積み重ね、継続の仕組みには、他の追随を許さない専門性を感じます。
以下備忘。
- あらゆる博物館で可能になる「対話ツールとしての」回想法。
- 「回想法」の再定義。
- わたしの考え:すべての博物館資料は顕在的・潜在的に「人間のルーツ」に関わるものである。
- →だからこそ、あらゆる博物館資料が、回想法の材料となり得る。
- 対話ツールとしての回想法:来館者と展示、来館者とコミュニケーター(学芸員や支援者)、来館者と来館者…
- それぞれの「知識・経験」をもとに解釈する=同じものを観ても、そこから受け取るものはそれぞれ。
- =対話型鑑賞法と同じ。
- 博物館資料・展示を、参加者の経験のなかに入れ込む。
- 必ず「参加者は何に興味があるのか?」からスタートし、そこに立ち返ること。
学芸員研修会「回想法」北名古屋市歴史民俗資料館専門幹の市橋芳則先生 より
そして今回も、リアル会場での研修だからこその、グループワークを楽しみました。会場は大好きな九州国立博物館4階の文化交流展示室とあり、何度も来たことのある場所ですが、他者の目に見えているものを共有することで、新しい気づきがたくさんありました。各地の館の学芸員さんのお話を伺うのは、とても楽しく学びも大きく。
いつもありがとうございます!