こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
映画『アンナ・カレーニナ』の美術に感動。
「読んでいなかった名作を」シリーズで『アンナ・カレーニナ』を読んだのは、昨年初めのことでした。ずいぶん前に読んだような気がしていましたが、まだ1年ちょっとしか経っていませんでした。古くはグレタ・ガルボ、ヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソー、その他にもいろいろと映像化されていますが、今回私が見たのは2012年の米英合作版。
新潮文庫上・中・下巻で合計2000ページ越えの超大作。どうしたら2時間ほどの映画に収まるのだろうとドキドキしましたが、余計な心配でした(笑)ストーリーに必要な要所をきちんと抑えていたからなのでしょう、無理に端折った感じはせず、引き込まれました。
舞台を思わせる場面展開、美術の使い方、そして美しい映像。ヴィジュアル的に、とても満足感のある映画でした。わたしが特に目を惹かれたのが、機関車の象徴的な使い方と、舞踏会での艶やかなダンスシーン。そういえば、アンナとヴロンスキーの出会いのシーンにはじまり、アンナが自死に至るまで、重要なシーンは機関車とともにあったのだと、映画を見てあらためて思いました。
また舞踏会での社交ダンスシーンが、とても印象的でした。舞踏会のシーンはいろいろな映画で目にしますが、「踊り自体」に釘付けになったのは、初めてだだったような気がします。特に手の動きが、とても不思議で美しい動きでした。そして、このシーンに込められたたくさんの意味。セリフで冗長に語らせなくてもこれだけ伝えることができるのだと、感嘆しました。
さかのぼって過去に映画化されたものを見てみたいと思った半面、本作がとてもよかったので、そのイメージを保つには、別のアンナ・カレーニナは観ない方がいいかもしれませんね。そう思わせるくらいのインパクトでした。映画館で見たかった映画です。