こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
空間を変える力のあるアート。
少し前のことですが、久しぶりにアート作品を手に入れました。最初に見たのはもう7-8年前だったと思います。これはすごいな、いいな、欲しいな、と思っていたもので、念願がかないました。
作者は、金工作家・ATELIER FER(アトリエ フェール)の千場昌克氏。ジュエリーからオブジェまで、ハイクオリティの作品を次々に生み出しています。小さいものからある程度大きいものまで、さまざまな金属の素材特長と加工技法を知り尽くし、表現したいものによって使い分ける姿は、まさに金属オタク。そこに、細かく丁寧な仕事とデザインセンスが加わります。「なぜその素材なのか」の理由がちゃんとわかる仕事です。
キリンさん。花祭窯のギャラリースペース入り口に飾ってみました。二重構造になっていて、なかにLEDライトが仕込まれています。少し暗めの照明のもと、フッと浮き上がらせると、なんともいえない奥行きを感じる作品です。背景として彫り込まれている街並みがまた良い感じ。
この作品を手に入れたので、年明けからずっと、ギャラリースペースをどのように飾るかを考えていました。良い機会でしたので、藤吉憲典の磁器レリーフ作品も、あらためて展示替え。アート作品を飾るときに感じるのは、いくつか並べたときに、それぞれの作品に力があれば、異素材のもの・異分野のものを取り入れてもまったく違和感がないということ。
今回は、千場昌克氏のキリンと、藤吉憲典のシマウマ、人魚をどこに飾るか試行錯誤。それぞれの面白さがあり、その作品が入るだけで空間の雰囲気がガラッと変わる力を感じます。その昔サラリーマンをしていたころに、「自分のなかで現状打破したいと思う時は、アンティーク家具を購入して家のインテリアをガラッと変える」と言った上司がいました。そのときは「なるほど~」と聞いていたのですが、今なら「質の高いアートをひとつ加えるだけでも、空間の力が変わりますよ」とお伝えできると思います。
人魚はギャラリースペース展示棚の上の壁面に、シマウマは和室の床の間に落ち着きました。花祭窯へお越しの際は、ぜひゆっくりご覧ください。
力のある、力が伝わってくるアート作品と出会うのは、タイミング。「力がある」と感じるかどうかは、それを手に入れる人次第なので、価格の高い低いはあまり関係がありませんし、アーティストが有名か無名かも、ほとんど関係ありません。他者の評価に惑わされずに、自分にとっての傑作を見つけることができる審美眼を磨いていきたいですね。