こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
続・『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)で、彫刻の歴史をざっと学び直し(その4)。
「その1」では、エジプト・メソポタミア文明からエーゲ・ギリシャ文明まで、「その2」では、エトルリア・ローマから初期キリスト教・ビザンティン、続くロマネスク・ゴシックまで、「その3」ではプロト・ルネサンスからルネサンス、マニエリスムまでをまとめました。
「その4」ではバロック(17世紀)、ロココ(18世紀)、新古典主義・ロマン主義(18世紀後半~19世紀前半)まで。
バロック(17世紀)
- 宗教のメディアとしての美術。
- ドラマチックな演出で感情移入を促す:劇的な動き・凝った装飾・過剰な壮大さ。
- バロック建築:楕円・曲線・派手な内部装飾。
- ベルニーニ(イタリア・バロックの体現者):彫刻と建築が一体化した空間をプロデュース。サン・ピエトロ広場(ヴァチカン)、「アポロンとダフネ」、「聖テレサの法悦」。
- 神秘体験を可視化。劇場舞台のような作り。
ロココ(18世紀)
- サロン(官展)の誕生。貴族趣味。
- 建築・家具・食器・ファッションなどの工芸・服飾にもロココの影響(流行)。
新古典主義・ロマン主義(18世紀後半~19世紀前半)
- ポンペイ遺跡の発掘。古代美術ブーム。
- 古代遺跡・ルネサンス作品への文化的尊敬。
- 政治のプロパガンダとしての芸術。
- ギルド社会における徒弟制度による実践重視から、アカデミズムによる美術理論重視へ。
『いちばん親切な西洋美術史』(新星出版社)より
「彫刻」視点でまとめているため、上には入れていないものの、わたしの好きな画家カラヴァッジオはこの時代(バロック)の寵児。ヴィジョン(幻視)による感情移入はまさに「ドラマチックな演出」そのものです。こうして振り返ると、サロン(アカデミー)誕生による、実践重視から美術理論重視への変化こそが、美術における絵画(平面)偏重を招いたとあらためて感じます。
次回「その5」は、印象派から近現代まで。ついに完結できそうです。