藤吉憲典の蕎麦猪口

続・あらためて、蕎麦猪口。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・あらためて、蕎麦猪口。

昨日の「あらためて、蕎麦猪口」の続きです。2004年に発行した、蕎麦猪口の魅力をまとめた小冊子「蕎麦猪口の文様小話」から抜粋してご紹介。


はじめに~そばちょこって(後半)

※「はじめに~そばちょこって」前半はこちら

猪口(ちょこ/ちょく)の語源としては、中国語で盃(さかずき)の意味を持つ「鍾」(しょう)の発音からきているというのが有力のようです。「猪口」の漢字を当てはめたのは、器の形が猪(イノシシ)の口に似ているから、とか。

現在では「猪口=おちょこ」で盃などを呼ぶのに使われるのが一般的ですが、古くは今で言う小鉢の役割に近いものが猪口と呼ばれ、かたちも大きさもさまざま。用途も和え物などの料理を盛る、調味料を入れて皿に添えて出す、飲み物を飲むのに用いるなど幅広く、いろいろな形のものを総称して猪口だったのだろうと想像されます。

そんななかで蕎麦のつけ汁用に程好く、また蕎麦湯のの身勝手の良い形、サイズのものが蕎麦猪口と呼ばれるようになったわけですね。そんな背景を知ってみると、現代のわたしたちが「食べる」「飲む」さまざまな場面で便利に蕎麦猪口を使うのも、なるほどあたりまえに思えてきます。

※『蕎麦猪口の文様小話』「ふじゆりの蕎麦ちょこ蒐集」編より


次は文様の話に続きます。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。