こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
続・読書『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』(平凡社新書)施井泰平著
つい先日読書記録をアップしたばかりですが
ちょっと、時間をとってしっかり自分の考えを整理したい部分が結構ありましたので、あらためてまとめ直し、というか、以下、備忘メモ。
- アートの歴史を振り返ってみれば、最も時代を象徴するアート作品は、いつもその時代の「長者」が買うような作品群でした。
- (ラスコーやアルタミラの時代から最新のNFTアートの時代まで、変わらないアートの本質とは)未来に向けて価値を問う、つまり「時を隔てて唯一性のある普遍的な価値を問うこと」
- 時を隔てて唯一性のある普遍的な価値を問う「意志」を持ってつくったもの
- NFTという生まれたばかりの技術がすぐにアートと結びついたのは、アートが必要としてきた「価値継承の環境」をつくる上で、それがひじょうに優れた道具であったから
- 作品の真正性や由来(制作者やつくられた年など)、その後の流通や利用を示すための「証明書」「公式記録」「鑑定書」のようなものとして信頼のできる情報
- 批評家や美術館学芸員、キュレーターのように、作品が持つ社会的な文脈を言葉で解説してくれる人
- 「この作品を買った」「このアーティストが素晴らしい」と宣伝を買って出てくれるような「コレクター/インフルエンサー」
- コレクションをつくる上で重要なのは、ある種のテーマ設定や一貫性のようなもの
- 厳しい著作権の管理は、既存の現代アート業界ではむしろ当たり前
- クローン文化財は、それ自体がある種の「作品性」を帯びるものとなる可能性がある
- アートの民主化
- 世界中のどんな場所にいても、普遍的な永続する価値を世界に問うことができるようになる
- これからもアートのメインストリームにおいては、権威に基づいた希少性が価値に直結するであろうことに変わりはありません。
- アーティストを発見して育て、プロデュースするというギャラリーが持っている基本的な役割
- 作品の情報アーカイブという役割は徐々にブロックチェーンに移っていくとしても、キュレーションや批評といった職業の重要性は変わらず、むしろ高まっていくかもしれません。
- これまで、ギャラリーが果たしてきた「物語づくり」の役割を誰が担うのか。
- 「美しいもの」をつくる
- アーカイブの重要性
- 時代を超えた普遍性の感覚
- 「所有できるもの」の時代へ
- アカデミーのような文化的、社会的な価値をつくっていく機能
- ミュージアムの価値は、「歴史」にある過去から未来への長い時間軸のなかでモノや情報を伝えていく「通事性のメディア」(テレビ・ラジオ・新聞など多くの「共時性のメディア」に対して)
- 時代を先導していく「切り込み隊長」としてのキュレーター
- 所有がもつダイナミズムによって、時代を隔てた価値を問うアートの生態系が維持されている
『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』(平凡社新書)施井泰平著より
NFT以前に大事なことが、たくさんでした。思えばわたしには、コレクターがコレクションを形成していくうえでなにを重視しているのか、という、ある種の「かたまり/まとまり」の価値に対する考察が欠けていたように思います。花祭窯おかみ=キュレーターの果たすべき役割を、ちゃんと自分のなかで整理し直そうと思います。