藤吉憲典 金襴手珈琲碗皿

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「金襴手(きんらんで)珈琲碗皿 “木漏れ日”」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「金襴手(きんらんで)珈琲碗皿 “木漏れ日”」

磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズ。「美しさ」には「用途の美」を含みます。使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。

ふだん作品に名前を付けるときは、「技法+文様+形」にすることが多いです。今回のコーヒーカップは、金彩を施した「金襴手」。江戸後期から明治期にかけて、輸出用につくられた肥前磁器には、金襴手の品のある華やかさが人気の名品がたくさんありました。当時の陶工たちへのオマージュを込めた作品。

藤吉憲典 金襴手珈琲碗皿
藤吉憲典 金襴手珈琲碗皿
藤吉憲典 金襴手珈琲碗皿

金を使っているというだけでなく、つくりも絵付も素晴らしく凝った珈琲碗皿です。カップの持ち手は造形の美しさもさることながら、指にあたる感触の柔らかさと程好い大きさ、持ち上げたときの絶妙な重量など、細部まで行き届いています。

そして、なんといっても絵付の妙。光と影を思わせる木立の葉っぱのデザインは、藤吉憲典が独立当初から長年得意としているオリジナル文様のひとつです。金が入るとまたさらに陰影の美しさが際立ち、琳派を思わせます。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。