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読書『さようなら、オレンジ』『サンクチュアリ』(筑摩書房)岩城けい著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『さようなら、オレンジ』『サンクチュアリ』(筑摩書房)岩城けい著

岩城けいさん、二連荘。お盆に読んだ『サウンド・ポスト』が良かったので、デビュー作の『さようなら、オレンジ』(2013年)と、最新作『サウンド・ポスト』のひとつ前の『サンクチュアリ』(2020年)を連続で読みました。

『サウンド・ポスト』読後に書いた「見た目(外見)と、ことば(母語)と、音楽と、人種差別と、偏見と、経済格差。オーストラリア在住という著者の問題提起が芯を貫いているように感じました。」の感想は、「音楽」は除くものの、そのままこの2冊にも通底しました。

ともあれ2冊とも、週末の隙間時間で読了しました。どちらも160ページほど。中編とでも呼ぶべきボリュームでしょうか。短時間で読みましたが、しっかりと心に残ったのは、考えさせられるテーマ故。なかでもデビュー作の『さようなら、オレンジ』が、特に響きました。静かな文体から滲み出る迫力、登場人物の心の悲鳴のようなもの。それでもラストに見えた希望に、ある種の爽やかさのある読後感でした。

同じテーマを、姿を変えて書き続けるというのは、作家にとって難しいことでは無いのだろうか?と思ったり、逆にそのテーマがあるからこそ書き続けることが出来るのかも、と思ったり。立て続けに3冊読んだので、ちょっぴり休憩が必要です。未読の著書がまだありますので、少しおいてから復活予定。著者の、別テーマでの小説も読んでみたいな、と思いました。

『さようなら、オレンジ』岩城けい

『サンクチュアリ』岩城けい著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。