こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『さようなら、オレンジ』『サンクチュアリ』(筑摩書房)岩城けい著
岩城けいさん、二連荘。お盆に読んだ『サウンド・ポスト』が良かったので、デビュー作の『さようなら、オレンジ』(2013年)と、最新作『サウンド・ポスト』のひとつ前の『サンクチュアリ』(2020年)を連続で読みました。
『サウンド・ポスト』読後に書いた「見た目(外見)と、ことば(母語)と、音楽と、人種差別と、偏見と、経済格差。オーストラリア在住という著者の問題提起が芯を貫いているように感じました。」の感想は、「音楽」は除くものの、そのままこの2冊にも通底しました。
ともあれ2冊とも、週末の隙間時間で読了しました。どちらも160ページほど。中編とでも呼ぶべきボリュームでしょうか。短時間で読みましたが、しっかりと心に残ったのは、考えさせられるテーマ故。なかでもデビュー作の『さようなら、オレンジ』が、特に響きました。静かな文体から滲み出る迫力、登場人物の心の悲鳴のようなもの。それでもラストに見えた希望に、ある種の爽やかさのある読後感でした。
同じテーマを、姿を変えて書き続けるというのは、作家にとって難しいことでは無いのだろうか?と思ったり、逆にそのテーマがあるからこそ書き続けることが出来るのかも、と思ったり。立て続けに3冊読んだので、ちょっぴり休憩が必要です。未読の著書がまだありますので、少しおいてから復活予定。著者の、別テーマでの小説も読んでみたいな、と思いました。