こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『アンダークラス』(小学館)相場英雄 著
お盆読書記録が続きます。お友だちが読んで感想をSNSにアップしていた本から興味を持った一冊。いつものカメリアステージ図書館にありました。気になったときにすぐに探すことが出来て、たいていは見つかり、すぐに予約出来るありがたさ。図書館で予約しましたが、数人待ちでした。予約待ちは、ふだんわたしが読もうとしている本には珍しく、注目度の高さが伺えました。
ひとつの殺人事件を解決するまでを通して、「下級国民」へと突き進む日本の現実を描き出しています。派遣労働・外国人技能実習生・超格差社会の問題を、外資系IT(流通)企業を通して浮き彫りにしています。ストーリーに登場する外資系企業は、読めばどこがモデルになっているかすぐにわかるでしょう。本書はフィクションですが、そのフィクションの背景にある現実を突きつけられ、うすら寒い思いがしました。
「これから、日本人が景気の良いアジアに出て、仕送りする日がくるね」というセリフが出てきます。すぐそこまで来ている現実でしょう。コロナ禍が明けて、海外からの観光客が増えてきた博多駅周辺を見ていると、そのひとつの傾向が見てとれます。コロナ禍前から多かった韓国・台湾・中国からの旅行者と同じくらい、欧米諸国からの旅行者の数が増えているのです。これは、日本の人気が高まったからではなく、相対的に「日本への旅行が安上がり」だからだと、旅行業に携わる友人が教えてくれました。
発行元の小学館のサイトを読んだところ、本書は『日本経済の末路を予言した「震える牛」シリーズ』の最新刊と位置付けられるということで、著者・相場英雄氏が社会的なテーマでこれまでにも著しているようです。相場英雄さんの著作を読んだのは今回が初めてでしたので、ちょっと遡って読んでみたいと思います。