こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『サバカン SABAKAN』(文藝春秋)金沢知樹著
映画館で『サバカン』の予告編を見たのは、わりと最近だったような…と思いながら手に取りました。映画は今年8月公開。本書はその映画監督による書下ろしの原作小説でした。舞台は長崎県の長与町、しかも1980年代とあって、1980年代の8年間を長崎県で育った者としては、見たさ半分、見たくなさ半分で、結局映画は観なかったのでした。
そんな本書をいつものカメリアステージ図書館で発見。本ならば読めるだろうと思い、借りて参りました。著者の金沢知樹監督は1974年生まれとなっていましたので、わたしより5年ほど後生まれ。ほぼ同世代(!?)なので、その時代の長崎あたりの田舎の雰囲気、学校や子どもたちがどんな風であったかというのは、良きにつけ悪しきにつけ容易にイメージが湧きました。
今の世の中ならすぐに問題とされるであろう、学校の先生の(暴)力による生徒支配、貧しい家の子をバカにし揶揄う子どもの残酷さ、生徒の家でその親と一緒に酒を呑む先生など、「ああ、そういえば」という当時の日常が、苦く思い出されました。そんな時代を「古き良き」と言えるかどうかは、人それぞれでしょうね。
とはいえ、本書のお終いには光が遺されていました。映画のレビューも比較的高評価が多く、そのうち見てみてもいいかも、という気持ちになりました。