こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(早川書房)シーグリッド・ヌーネス著/桑原洋子訳
いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。砂糖菓子のような色合いの表紙につられて手に取った一冊です。なんとなくタイトルに既視感があるような気がしたのは、どうやら本書が映画化されていたからのようです。映画を観たわけではありませんが、どこかで宣伝を目にしたことがあったのかもしれません。
末期癌になった友人に、自殺するまでの期間を一緒に過ごしてほしいといわれて、承諾してしまった主人公の物語。パステルカラーの表紙とは、だいぶ温度差のある、考えさせられる内容でした。タイトルの「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」は、死ぬときに近くに誰かにいて欲しいという友人の気持ちを表しているものであり、その第一発見者とならなければならない主人公にとっての「蹴破るべきドア」であり。
自分がそうなったときに、この友人のような気持になるものか、もし友人からこのようなことを頼まれたときに自分は「イエス」といえるのか、どれくらいの近しさだとそれを受け入れることができるのか、あるいはできないのか。ほんとうにその時にならないと答えは出ないだろうな、この主人公たちのように、実際にそうなってからもずっと「ほんとうにこれでいいのか」は付きまとい、答えは出ないのだろうな、と思いながらの読書でした。
「準備」については、昨今は日本でも「終活」という言葉で語られるようになってきていますね。「終活」という言葉が使われるとき、なんとなく明るく積極的な雰囲気をまとっているのがずっと気になっていたのですが、それが受け入れられる状態のときでないと、冷静な判断ができないというのもあるだろうな、と思いつつ。
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(早川書房)シーグリッド・ヌーネス著/桑原洋子訳