読書『チキン半々大根多めで』(影書房)キム・ソヨン著/下橋美和訳

読書『チキン半々大根多めで』(影書房)キム・ソヨン著/下橋美和訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『チキン半々大根多めで』(影書房)キム・ソヨン著/下橋美和訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から。この棚は、ほんとうにいろいろな視点を私にもたらしてくれます。年末年始に読んだ本の中の一冊にあった『地上の楽園』(中央公論新社)月村了衛著も、カメリアステージ図書館新刊棚から手に取ったものでしたが、本書はそれに続いて、わたしがこれまで知らずにきた日韓(あるいは日朝)関係の近現代史の一端を、目の前に提示してくれた一冊です。

1950年代=朝鮮戦争下、1960年代=朝鮮戦争休戦後の混乱期、1970年代=理不尽な国の政策に翻弄される時代、1980年代=ソウル五輪開催直前の軍事政権下、1990年代=あらたな格差社会の時代…と、時代を追って「食べもの」を中心としたストーリーが繰り広げられます。内容は、なかなかにシビアというか、鋭いながらも淡々とした視点で描かれています。食べものの話を中心に進みますが、近現代史小説、あるいは社会小説といったほうが合っているような気がしました。わたしはタイトルや表紙のポップなイメージから、勝手にふんわりした感じのお話かと想像していましたので、少々面喰いました。

今でこそ芸能分野を中心に、活発な交流のある日本と韓国ですが、これはほんとうに最近のことなのだと、あらためて思いました。朝鮮戦争から1980年代後半に民主化されるまでの韓国の現代史について、わたし自身はあまりにも無関心であったことを突き付けられました。韓国ドラマのファンになったり、韓国アイドルを推している人たちは、もしかしたら、こういう近現代史を自ら学ぶ機会を持ったのかもしれませんね。

本書の内容をとても分かりやすく解説していたので、銀座にある書店・教文館さんの書籍紹介のページをリンクにしています。「本書は、歴史に学びつつ過去現在未来のつながりを模索し、多くの危機を克服してきた朝鮮半島の歴史をふりかえる作業をおこなっている1972年生まれの著者が、韓国現代史の中で誕生し、愛され続けてきた5つの食べ物をとおして、朝鮮戦争のころから1990年代まで、それぞれの時代のすがたを10年ごとに見つめてみたいと考えたことから生まれた短編集です。」と紹介されています。

『チキン半々大根多めで』(影書房)キム・ソヨン著/下橋美和訳

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。