読書『ネーミング全史』(日本経済新聞社)岩永嘉弘著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ネーミング全史』(日本経済新聞社)岩永嘉弘著

商品・サービスに「わかりやすい名前を付ける」必要に迫られて、たくさん借りてきた「ネーミング」に関する本のなかで、特に面白かった2冊の一冊。もう一冊は昨日のブログで紹介した『ネーミングの言語学』(開拓社/窪薗晴夫著)でした。

学術的な研究書を一般にも読みやすく編み直したのが『ネーミングの言語学』なら、こちらはマーケティング戦略としてのネーミングの歴史をそのまま生きてこられたような、コピーライターのパイオニアによるビジネス書です。タイトルにある「全史」の文字にうなずける内容でした。

サブタイトルに「商品名が主役に躍り出た」とあるように、(ヒット)商品名によって歴史を振り返ることができる内容となっています。商品名から時代の空気感が伝わってきます。わたしは経済学部出身で、学生時代特に好きだった経営学の科目に「商品学」というものがあるのですが、その「商品学」のテキストとして使えそうな本です。

ヒット商品の歴史を、商品名誕生の背景から振り返るという意味では、単純に楽しく、そして一定の世代以上では懐かしく読める本です。そのうえ巻末には、優れたネーミングを生むための発想チャートなど、ネーミング作成法・手順も載っていて、実務的にすぐに役立てられるように、という著者の意図も伝わってくる本です。

学術的アプローチの『ネーミングの言語学』とマーケティング的アプローチの『ネーミング全史』、どちらも実務のためになり面白い本でした。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。