こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『パンダパシフィカ』(朝日新聞出版)高山羽根子著
いつものカメリアステージ図書館新刊棚から。初めましての作家さんです。
読みながら不思議な既視感を覚え、なんだろうと考えていたのですが、ブログを書き始めて思い出しました。昨年読んだ、高瀬隼子さんの本や、小砂川チトさんの本を彷彿とさせる、「日常を描いていながら、日常からちょっとずれている感じ」です。
この「日常からちょっとずれている感じ」は、わたしは嫌いではなく、なので本書にも引き込まれました。ストーリーは淡々と進み、いつのまにか「あれ?」という感じのことが増えてきます。本書が何を書いているのか、何を言いたいのか、実のところ、わたしにとっては明確にならないままに終わりました。朝日新聞出版社サイトでの紹介文(あらすじ)を読めば、「命をあずかることと奪うこと。」とあり、それはたしかにそうなのですが、簡単にそう断言できるような感じでもなくて、モヤモヤしたまま置いていかれる感じがありました。
「匂い」についての表現が、ずっとついて回ります。これがなんともザワザワとした印象につながります。人間の五感のなかでも「匂い」をかぎ取る嗅覚は、「危険」を察知するのに重要な役割を持っているのだよな、とあらためて思ったり、なのに花粉症などで「鼻が詰まって匂いがわからない」状態になっている人がたくさんいる現代って…ということを考えさせられたり。あ、タイトルについている「パンダ」のお話も、もちろん出てきます。それも「やや過剰」な感じで。
高山羽根子さん、著書を遡って追っかけたいと思います^^