『ブッダに学ぶほんとうの禅語』アルボムッレ・スマナサーラ著

読書『ブッダに学ぶほんとうの禅語』アルボムッレ・スマナサーラ著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ブッダに学ぶほんとうの禅語』アルボムッレ・スマナサーラ著

お盆休み中の読書。入門している茶道南方流が、禅寺である円覚寺で受け継がれてきているところから、禅の言葉に触れる機会が増えました。お寺やお茶室で掛け軸になっているのを目にしたり、和尚さんがさらっと口になさったり、初釜茶会でいただく色紙に書いてあったり。気づけば身の周りに禅語がありました。

あまり意味を深く考えることなく、自然に接していた禅語ですが、少し考える機会があって手に入れたのが本書です。著者のアルボムッレ・スマナサーラ氏はスリランカ上座仏教長老ということで、禅宗の人ではありません。その方が、あえて初期仏教を受け継ぐ立場から、よりブッダの教えに寄り添い「禅に関する言葉」を解釈をするという、試み。

歯に衣着せぬ物言いで、一般に広まっている禅語に対する解釈を補足したり修正していく様子は、とても面白いです。禅の言葉に限らず、日頃いかにわたしたちが、言葉を自分に理解しやすいように、あるいは自分に都合よく、解釈しようとしているかを突き付けられたような気がしました。

禅の言葉はいろいろな解釈を呼ぶものがあるけれども、そのずっと根本にあるブッダの教えは明確で、多様に解釈されるようなものではないというお話が、心に響きました。また、禅と初期仏教では立場や手法が異なっているけれども、そもそものブッダの教えはひとつであり、その目指すところは同じというお話には、安心を覚えました。

ところで禅語に関する書籍は、禅の修業とは関係なく「ふつうの人」が日々の生活に生かせるように解釈したものが、たくさん出ていますね。今回少し調べてみて、類書がたくさんあったこと、つまり「禅のことば」や「禅的なもの」に関心のある人がたくさんあるのだなぁ、と再認識しました。

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ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。