花祭窯 津屋崎

読書『一億円のさようなら』(徳間書店)白石一文著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『一億円のさようなら』(徳間書店)白石一文著

いつものカメリアステージ図書館、貸出カウンター横の「特集テーマ」コーナーに、手が伸びました。特集のテーマが何だったかは、覚えていません(笑)が、「つい手に取る」という行動に結びつくあたり、司書さんたちの撒いた餌にまんまと釣られております。最近は「新刊棚」と並んでお気に入りの棚となっています。

本書はわたしにとっては、はじめましての作家さんでしたが、直木賞や山本周五郎賞を受賞なさっている人気作家さん。裏表紙に「この2年間、ぼくはこの作品をおもしろくすることだけを考えてきた。」と書いてありましたが、たしかに面白くて、けっこうなページ数(文庫版で680ページ)にもかかわらず一気に読みました。読了後まず思ったのは「映像化したら面白いだろうな」でしたが、こちらもすでに上川隆也さんの主演でドラマになっていたようです。

夫婦間の「信頼関係」とは何かと、人の持つ闇・凶暴性について、読んでいる間中考えさせられました。主人公的には到底納得できないであろう過去の出来事・現在の出来事が次々に判明し、悶々とした状態が続いて展開にハラハラしたわりには、最後はなんとなく明るい終わり方で、「あら?」という感じ。どこかで壊れてしまうのではないかと思えた主人公が、最後まで理性的に持ちこたえるあたりも、ちょっと拍子抜けしました。これって、主人公は、かなりできた人物!?という感じで。主人公の闇の部分が顔を出したらどんな結末になったのだろうと、もう一つのストーリーを想像してしまいました。

はじめましてでとっても面白かったので、著者の既刊本を追っかけてみたいと思います^^

『一億円のさようなら』(徳間書店)白石一文著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。