こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
読書『十五の夏』(幻冬舎)
作家・元外務省主任分析官 佐藤優氏によるご自身の回想録、といったらよいのでしょうか。上巻・下巻ともにそれぞれ435ページという、質量ともにずっしりと読み応えのある本でした。「知の巨人」と呼ばれる佐藤優さんがどのような青春時代を送ったのか、気になっていたのをやっと手に取ることができました。
上巻はまるで冒険小説でも読んでいるような疾走感。高校一年生とは思えない佐藤優少年のしっかりした思考・発言・振る舞いに対し、読んでいる自分のドキドキと落ち着かないこと。一気に読みました。
下巻は当時の政治的な空気や、この旅に至るまでの佐藤少年の背景にあったものを理解するためのストーリー(エピソード)が解説的にたくさん入っていることもあって、正直なところ読み進むのにやや困難を感じる部分も少なからずありましたが、それでも一気に読まずにはいられない興味深さがありました。
大学生、高校生、そして中学生にも(かなり難しく感じるかもしれませんが)ぜひ読んで欲しい本だと思いました。それから、そういう年代のお子さんが周囲にいらっしゃる大人にも、ぜひ読んでみて欲しいと思いました。
上下巻を通じて最も印象に残ったのは、国にしても人にしても「好き嫌いに関係なく、相手のことをよく知ることがまずは何より大切である」という通底したメッセージ。そして最終章に出てくる、浦和高校で倫理・社会を教えていたという堀江六郎先生のことば「ほんとうに好きなことをしていて、食べていけない人を私は一度も見たことがありません」「ただし、それはほんとうに好きなことでなくてはダメです。中途半端に好きなことではダメです。ほんとうに好きなことをしている人は、必ずそれで食べていくことができます」(『十五の夏 下』幻冬舎より)という言葉。