こんにちは、花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『名画で読み解く ブルボン王朝12の物語』(光文社新書)中野京子
中野京子さんによる「ヨーロッパの歴史を名画とともに紐解いていく」シリーズ、『イギリス王家12の物語』に続いては、『ブルボン王朝12の物語』です。
今年に入って「藤本ひとみ祭り」で読んできた『皇妃エリザベート』、『王妃マリー・アントワネット<青春の光と影>』、『王妃マリー・アントワネット<華やかな悲劇のすべて>』、『アンジェリク』、『ハプスブルグの宝剣』など、17-18世紀ハプスブルグ家周りのストーリーとして読んでいました。隣り合う両家。マリー・アントワネットはルイ16世妃ですから、どちらかといえば「ブルボン王朝」のお話ですね。すぐにピンとこなかったのは、ひとえに我が浅学故。
さて『名画で読み解く ブルボン王朝12の物語』。フランス文化が花開き絶頂期を迎えたのが、このブルボン家を代表する太陽王・ルイ14世の時代でした。王朝が芸術文化の大パトロンとなり、フランスこそが文化の中心であるという意識を確固とした文化振興策の数々が打ち出され、それらの最大の象徴としてのヴェルサイユ宮殿・宮殿文化ができあがり…という時代。「ブルボン王朝=ヴェルサイユ宮殿」。なるほど文化の中心としてのフランスの位置づけは、ブルボン王朝からはじまったのですね。読み終えてやっと結びつきました。
また、パリからヴェルサイユに王宮を移したために、残されたルーヴル宮は美術の中心拠点としての色合いをより強化することになり、その先にルーヴル美術館の誕生があるということも、あらためて整理することができました。ルイ15世時代の王家コレクションの公開展示、16世の時代に美術館実現へ向けてのプロジェクトがはじまり、革命勃発・王権停止を経て、革命政府による美術館化プロジェクト推進により、1793年ルーヴル美術館オープン。この、政権が大きく変わっても美術館プロジェクトが大切なものとして変わらなかった価値観の定着が、ブルボン王朝の大きな遺産だったのではないかと思えました。
ヴェルサイユ宮殿の門柱には、今もブルボン家の紋章が輝き続けているそうです。わたしはこれまでの人生で2回パリに旅行をして、2回ともヴェルサイユ宮殿に行く予定を組んでいながら実現しなかったという不思議があります。次回フランス渡航の際には、三度目の正直で足を運びたいと思います。