福岡アジア美術館図書スペース

読書『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』(新潮社)橋本麻里・山本貴光著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』(新潮社)橋本麻里・山本貴光著

いつものカメリアステージ図書館、貸出カウンター横の特集コーナーより。今月の特集は「本の本」となっていました。「本」「図書館」の文字に、ついつい引っ張られるわたしです。上の写真は、わたしの好きな「本のある場所」のひとつ、福岡アジア美術館内の図書コーナー。

「図書館で暮らす」なんて魅力的な響きでしょう。学芸プロデューサーの橋本麻里さん、文筆家の山本貴光さんご夫妻の共著。その「図書館」を設計した建築家・三井嶺さんのお話も掲載されています。三者がそれぞれの立場・視点から、ご夫妻のご自宅であり仕事場であり図書館である建物について、図書館について、本について語る内容は、現実的な試行錯誤の話でありながら文学的であり哲学的であり。

図書館とはいっても、私設図書館どころか、まったくオープンなものではなく、個人宅。仕事柄、図書館が近くにあることが必要である、というお二人の生活・仕事拠点です。蔵書ファーストな設計による建築物は、家に図書館があるというよりは、図書館が家である、と言ったほうが良さそうなもので、本好きにはうらやましいかぎり。でもそれを実現してしまうというのは、並のことではありません。それほどの情熱と必然性が、淡々とした文章から伝わってきます。

本が物理的に並んでいることによる効用は、実感として理解できることであり、だからこそ、電子書籍などのデータではなく、紙の本が必要なのだという確信を、再認識できる読書でもありました。読み終わったわたしが、我が花祭窯の図書館ならぬ「図書室」を、しっかり充実させたいという思いに駆られたのは、言うまでもありません。

『図書館を建てる、図書館で暮らす 本のための家づくり』(新潮社)橋本麻里・山本貴光著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。