台湾故宮博物院

読書『地下鉄駅』(河出書房新社)何致和 著/及川茜 訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『地下鉄駅』(河出書房新社)何致和 著/及川茜 訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から借りてきた一冊。台湾を舞台とした物語です。台湾の小説家の方が書いた本を読んだのは、もしかしたら初めて(!?)かもしれません。オードリー・タン氏の著作は何冊か読みましたが、小説ではありませんでしたので。勝手に「一人オードリー・タン読書祭り」を開催していたのは、2021年のことでした。本書は何致和(カチワ)さんの初邦訳本。上の写真は、台湾故宮博物院に行った時のもの。

448ページと、結構なボリュームでしたが、引き込まれて週末に一気読み。これは舞台が日本でもまったく違和感がないよなぁ、と感じました。主人公を取り巻くあれこれも、主人公の娘を取り巻くあれこれも、介護の問題も、どれもが「あるある!」とイメージできる世界。物語は淡々と日常を描いていて、その中心に「地下鉄駅への飛び込み自殺」という非日常があります。地下鉄の自殺防止プロジェクト長に任命されてしまった主人公の、公私におけるトラブルは、「悲劇と喜劇は紙一重」の言葉を思い出させました。

巻末に、精神科医であり作家である松本俊彦氏が解説を寄せています。河出書房新社の本書紹介ページにも一部載っていて「読了後、語られなかったこと、描かれなかった余白に読者は深く心を揺さぶられ、何かを考え始める。こうした、読後から始まる独特の余韻、静かな残響音は、本作品における最大の魅力といってよいだろう。」と書いておられるのですが、わたしの読後が、まさにこの通りでした。

本書は何致和(カチワ)さんの初邦訳ということでしたが、台湾では何冊も受賞歴のある著書が出ているということで、もっと読んでみたいと思いました。これから過去作に遡って邦訳されると嬉しいな、と願いつつ。

『地下鉄駅』(河出書房新社)何致和 著/及川茜 訳

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ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。