こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『地面師たち』(集英社文庫)新庄耕著
いつものカメリアステージ図書館新刊棚から文庫を発見。昨年Netflixで配信されて大きな話題となっていた『地面師たち』。我が家は配信サービスに加入しておりませんので観ていないのですが、出演者の豪華な(というか癖のある)顔ぶれが気になっていましたし、ストーリーの元となっている事件は、当時新聞を読んで「あの積水さんが」と衝撃だったのでした。というわけで迷わず手に取り。
実は本書を読む前に、やはりカメリアステージ図書館新刊棚で、本書のスピンオフ版『地面師たち アノニマス』(集英社文庫)を見つけて、こちらを先に読んでいました。地面師たちが地面師たちになる前の物語の短編集。その巻末に、Netflixで「後藤」を演じたピエール瀧と新庄耕氏による対談が収録されていて、それがまた面白かったです。
さて本書。「地面師」という存在と、そのやり方に驚きつつ、こんな世界があるのね、と読みました。淡々と読んできた後に、思いがけないラストが用意してあって、ちょっとびっくり。現実の詐欺事件を報道で知ったときに「こんなに頭の回転がいいのだったら、犯罪ではない方面で生かしてもちゃんとお金が稼げるだろうに」と思うことがよくありますが、なぜ「良い方向」に行けないのか、の理由が小説の登場人物たちの背景から見えてくるような気がしました。
読み終わってから、あらためてドラマ版での配役を確認。なるほどあの役をこの人が演じたのね、とイメージが膨らんで面白かったです。配信サービスを利用していないから観ることが出来ないというのは残念でしたが、本書のあとがきで、なぜこの作品が地上波のテレビドラマや映画にならなかったのかの理由も書いてあったので、なるほどと理解(笑)。でも、これだけのヒットになったのですから、映画化の話があらためて出てくるかもしれませんね。
ところで気になっていたとはいえ、わざわざ探してまではいなかった一冊が、簡単に目に付き手に届く場所においてあるというのは、「読もう!」を後押ししてくれるとっても素敵な仕掛けですね。おかげで『地面師たち』を読めました。カメリアステージ図書館新刊棚、秀逸です^^