『夜想曲集』カズオ・イシグロ

読書『夜想曲集』(早川書房)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『夜想曲集』(早川書房)カズオ・イシグロ著

副題が「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」。そういえば『充たされざる者』の主人公も音楽家でした。

わたしにとっては、カズオ・イシグロの短編を読むのはこれが初めてでした。これまでさんざん長編を読んできただけに、一編読み終わるたびに「あらっ、もう終わり」と拍子抜け(笑)しましたが、余韻の残る読後感は短編でも健在で楽しめました。

ひとつのアルバムに見立ててつくられたという短編集。単純に「音楽のそばにあるストーリー」ということだけでなく、そこにある切なさというか、例えるならば夕暮れというか曇り空的な雰囲気が共通して感じられる五編でした。

まずはサクッとカズオ・イシグロワールドに触れてみたい、という方にお薦めの一冊。個人的には、次の長編が待ち遠しいところです。

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ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。