『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる―倉本長治の商人学』(プレジデント社)笹井清範著

読書『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる―倉本長治の商人学』(プレジデント社)笹井清範著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる―倉本長治の商人学』(プレジデント社)笹井清範著

出版コンサルタント・土井英司氏が発行しているメールマガジン「ビジネスブックマラソン」略して「BBM」からの新着書籍の一冊です。このBBMを購読(無料です)している友人が少なからず、さっそく本書を読んだお友だちが数名SNS上に高評価の読後感想を載せていらっしゃるのを拝見。メルマガで気になっていたところに、尊敬するお友だちの皆さんの高評価を読んで、即買いしました。

『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる―倉本長治の商人学』(プレジデント社)笹井清範著

「商人道」本。帯にも推薦の言葉が書いてありますが、巻頭にユニクロの柳井さんが14ページにわたって熱烈な解説を執筆しています。そのあとに続く筆者・笹井清範氏による「はじめに」が8ページ。本文に入る前のウォーミングアップから、本書に託した並々ならぬ情熱が伝わって参りました。

そのあとに続く本文で、商人の行動指針「商売十訓」が紹介されます。さらに十訓のそれぞれには、関連する10編の教えが紹介されています。これらを読み込むことで、理想とされる商人像のなんたるかの本質理解に近づいていくことが出来る、という構成。ひとつひとつの訓示は、字面を読めば、あたりまえにそのとおりだと思えるものです。が、そのような薄っぺらい理解ではなく、言葉の深い意味・本質をしっかり自分のものにして商いをしてほしいという願いが、各訓示に続く10編の教えから伝わってきます。いわば「倉本長治」という方の思想本。

商人学ではありますが、商人に限らずふつうに仕事をしている人すべてに応用できると思います。友人からは「芸術家には当てはまらないかも!」と言われましたが、そんなことはありません。芸術家用に解釈するにはいくつか注釈が必要になるパターンは多少出てこようものの、どんな職業にでも生かせる姿勢(≒思想)が説かれていると思いました。実のところ、訓示の理解を促すための10編の教えのなかに、「ゴッホ」「村上隆」など、例として芸術家の名前が出てくるところもあります。

何度も繰り返し読むことで、理解を深め、自分の姿勢を見直していくことのできる本だと思います。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。