津屋崎浜

読書『李王家の縁談』(文藝春秋)林真理子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『李王家の縁談』(文藝春秋)林真理子著

正直、林真理子さんにハマる日が来るなんて、思ってもいませんでした。きっかけは『私はスカーレット』でしたので、約2年前からのことです。20代のころから知っているお名前ですから、その間ずっと文章を書き続けていらっしゃって、しかも第一線を突っ走っているということ。あらためて、すごい方ですね。

さて『李王家の縁談』。新刊の時に何かの書評欄で見て、読みたい!と思ったまま、忘れていました。先日図書館をぶらぶらしていて唐突に思い出し、「林真理子」の棚で見つけて借りてきました。「皇室の縁談」がテーマとして押し出されていますが、わたし個人的には、明治・大正・昭和の戦後までの近代史、特に朝鮮半島とのかかわりを描いたものだという印象が強かったです。それを「結婚」という視点から描いたもの。

皇族・華族という制度が、戦前から戦後でこのように変わってきたのだということ、日本における身分や階級の話は「昔の話」のイメージがあったけれど、実はつい最近まであった(あるいは現在も続いている)話だということが、迫ってきました。文藝春秋サイトでの本書の紹介では、歴史学者の磯田道史氏との対談や、著者へのインタビュー記事が載っていて、時代背景や皇室制度の補足的な知識を仕入れることができました。

第一次世界大戦から第二次世界大戦へという時代の、朝鮮半島とのかかわりでは、今年に入ってから黒川創さんの『暗殺者たち』を読んだところでした。これは「たまたま手に取った」偶然でしたが、同時代の本を続けて読むことによって、近代日本と朝鮮半島・中国大陸との関係を、少しだけ知ることができたように思います。

それにしても、やはり林真理子さんの描く「気の強い女性」は、とってもいいですね。そんな主人公の小説を、もっと読みたいと思いました。

『李王家の縁談』(文藝春秋)林真理子著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。