津屋崎浜

読書『水木しげるのラバウル戦記』(ちくま文庫)水木しげる

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『水木しげるのラバウル戦記』(ちくま文庫)水木しげる

ご存じ「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生の戦記物。水木しげるさんが戦争で南方に行かれたこと、そこで片腕を失ったこと、『ラバウル戦記』はじめ戦争に関するものをいくつか書いて(描いて)いること。知ってはいたものの、ちゃんと読んだのは今回が初めてでした。

淡々と書かれているからこそ、考えさせられました。さまざまな不条理に対する水木二等兵の素朴な感想を読むほどに、状況に惑わされずものごとをそのまま見ることのできる人の強さを感じました。特に心に残ったのが「植物や石は平穏に暮らしているのに、なんで人間だけがのたうちまわらねばならんのだろうと思った。」の一文。ほんとうに、なんで人間だけが、と思います。

それにしても、現地でのスケッチをたくさん持って帰ってくることができたというのも、奇跡的に感じます。本書をテーマとした展覧会があってもよいだろうなぁと思いつつ。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。