読書『狼の幸せ』(早川書房)パオロ・コニェッティ著/飯田亮介訳

読書『狼の幸せ』(早川書房)パオロ・コニェッティ著/飯田亮介訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『狼の幸せ』(早川書房)パオロ・コニェッティ著/飯田亮介訳

いつものカメリアステージ図書館。先日読んだ『帰れない山』(新潮社)が素晴らしかったので、著者追っかけです。本書は最新刊のようですね。早川書房さんからの出版で、訳者も変わりましたので、興味深く読みました。早川書房の公式サイトでの紹介では「山岳小説」と書いてあり、ということは『帰れない山』も山岳小説だわ!と妙に腑に落ちました。「○○小説」とジャンル名が付くと、説明しやすくなり、整頓しやすくなりますね。たまに「そんなジャンルなのか?」という感じのものもありますが。

さて『狼の幸せ』。前作同様、映画にしたらさぞかし美しいだろうな、と思える舞台でした。主要登場人物4名それぞれのストーリーも面白く。巻末の訳者あとがきで、著者が「ずっと書きたかった恋愛小説に本書で挑戦した」とあり、恋愛小説だったのだとわかりましたが、恋愛以外の要素のほうが、わたしには面白かったです。恋愛の要素を入れなくても、じゅうぶんに読み応えのあるストーリーだったんじゃないかな、と。そうそう、最初に気になった「訳者が変わった」件は、まったく気になりませんでした。

というわけで、『帰れない山』ほどの切なさやインパクトはありませんでしたが、読んだあとに、自分では見たことのない山々の景色を思い浮かべて、その美しさに酔うことのできる本でした。パオロ・コニェッティ氏、今後の作品も楽しみにしたいと思います。

『狼の幸せ』(早川書房)パオロ・コニェッティ著/飯田亮介訳

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。