チンパンジー陶箱 藤吉憲典 

読書『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。タイトルの不思議さと、インパクトのある表紙に手が伸びました。第170回芥川龍之介賞候補作だったそうですが、わたし個人的には、小砂川チトさん、初めましての本でした。

不思議な物語でした。最後の最後まで読まないと、ほんとうのところが見えてこない。いえ、最後まで読み切っても、どこまでが実際に起こったことで、どこからが脳内(妄想)で起こったことなのか、確信を持つことはできませんでした。わたしはとても好きですが、受け取る印象(好きか嫌いか)が読む人によってはっきり分かれるかもしれません。

悲痛な叫び声が聞こえてくるようであり、かといって主人公の彼女たちは、決して弱弱しいだけの存在ではなく。講談社サイトでの紹介文最初にある一文が、本書内からの引用なのですが、きっとこの本のテーマなのだろうな、と思いました。「思いました」と書いたのは、全部読み終わってもなお、著者の意図に確信が持てないからです。

「いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。」

独特の雰囲気がツボにはまりましたので、図書館検索で著作を探してみました。群像新人文学賞受賞作という本を発見・予約完了。読むのが楽しみです。

『猿の戴冠式』(講談社)小砂川チト著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。