読書『畦地梅太郎版画集「山男」』

読書『畦地梅太郎版画集「山男」』(山と渓谷社)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『畦地梅太郎版画集「山男」』(山と渓谷社)

畦地梅太郎氏の木版画シリーズを福岡市美術館で初めて見たのは、つい先日のことでした。「山好きな画家たち」のテーマでコレクション展示室にあったのを見つけ、ひょうきんな人物描写とポップな色使いに「こんな版画家がいたんだ!」とびっくりしたのでした。

それから10日も経たないうちに、その畦地梅太郎さんの版画集を、カメリアステージ図書館で見つけたのですから、なんとまあ、偶然って面白いものです。あるいは、図書館司書さんのなかに、福岡市美術館での展示をご覧になっていた方があったのかもしれません。ともあれ、即借りて参りました。

出版社が美術書を出すようなところではなく「山と渓谷社」であるところが、ミソです。「山」「山男」の版画といえば…と、版画家としての立ち位置を決めて制作に励んだことが伺え、それがちゃんと奏功しているなぁ、と思いました。上の写真は、本書に掲載されている版画の一覧。

全ページカラーで76作品が載っています。カラフルで武骨な感じのする版画は、風景画と人物(山男)画があり、それぞれにかなり趣が異なり、好みも分かれるかもしれません。わたしは個人的には、山の風景を描いた版画がとても気に入りました。きっと畦地梅太郎さんといえば「山男」の版画なのだろうな、とは思いつつ。

こうなると、福岡市美術館にはほかにも所蔵作品があるのではないかと期待が膨らみます。また常設展示される機会に観ることが出来たら嬉しいな、と。畦地梅太郎作品の常設展示は、東京町田にある畦地梅太郎ギャラリー「あとりえ・う」愛媛宇和島には「畦地梅太郎記念美術館」もあるとのことです。町田にある町田市立国際版画美術館にも、収蔵されているとのこと。版画は複数枚することが前提ですから、これが可能なのですね。機会があれば足を運びたいと思います。

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ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。