文藝春秋 キング作家デビュー50周年ページ

読書『異能機関 上・下』(文藝春秋)スティーヴン・キング著/白石朗訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『異能機関 上・下』(文藝春秋)スティーヴン・キング著/白石朗訳

スティーヴン・キング最新作は(も)、二段組の分厚い上下巻。2024年は、なんと作家生活50周年だということです。尽きることのない創作意欲は、読者にとっては嬉しいばかり。わたしにとっての「スティーヴン・キングといえば」は、『ミザリー』で、映画が1990年・小説の刊行は1987年です。自分が10代後半の時には既に第一線で大活躍していたわけで、「すごい!」の言葉しか出てきません。

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さて『異能機関』。超能力を持つ少年少女が全米から拉致され集められている「研究所」に、やはり拉致されてきた天才少年ルークを主人公とした物語です。超能力を持った子どもたちがなぜそこに集められているのか、研究所の目的は何なのか。「世界の平和を維持するため」を大義名分にすれば、何でも許されるのか。その大義名分に嘘やほころびは無いのか。あり得ないことのようだけれども、もしかしたら自分が知らないだけで、実際に起こっているノンフィクションをもとにしているのかもしれないと思わせられる怖さ。そして、ビジュアルイメージが容易に頭に浮かぶ雄弁な文章は、これもまたいずれ映画化されるのか?という期待を抱かせるものでした。

著者あとがきで「ありえざるものを信じられるものにつくりかえる境地」を一貫して追求してきた(している)と書いてあるのを読み、そうだった、そうだよね、と。このあとがきの文章がまた素敵で、大作家をサポートしている(してきた)人たちの存在が、強く暖かく感じられるものでした。作家生活50周年の特設サイトで、近年もずっと本を出し続けているということを、あらためて感嘆の思いで眺めつつ、読んでいない本が大量にあることに気づいたからには、また少しづつ読み進めねばなりません。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。