こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『真夜中の太陽』(早川書房)ジョー・ネスボ著/鈴木恵訳
先日読んだ『失墜の王国』がとても面白かったので、著者名検索で既刊本をさかのぼり、いつものカメリアステージ図書館から借りてきました。
本書もまた「ノワール小説(犯罪小説・暗黒小説)」に位置づけられていましたが、『失墜の王国』のあとがきで「著者のそれまでの作品はソフト・ノワール」というようなことを書いてあった通り、『失墜の王国』を先に読んだ身としては、だいぶソフトに感じました。
舞台は北欧ノルウェーの北極圏、少数民族のサーミ族が暮らす地域でした。『真夜中の太陽』のタイトルは、夜中でもお日様が沈まない彼の地の夏の景色を思わせます。わたしはノルウェーには行ったことがありませんが、フィンランドのやはり北極圏・ラップランド地方に行ったことがあるので、その風景を思いながら読みました。わたしが行ったのは、真昼間でもお日様の姿が見えず、日中の数時間だけが明るくなる真冬でしたので、まったく逆なのですが。でも読み終わったときには、一日中「ずっと暗い」というのと「ずっと明るい」というのは、どちらも閉塞感を伴うものなのかもしれないと感じていました。
ノワール小説でありながら、文学的な雰囲気と美しさを感じる文章で、サクサクと読了。訳者のお名前を確認したところ、やはり同じ方でした。わたしはこの方の日本語の雰囲気が好きなのかもしれないな、と思いつつ。