こんにちは、花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『私はスカーレット 上』(小学館)林真理子著
ご存じマーガレット・ミッチェル著の長編小説『Gone with the Wind(風と共に去りぬ)』を、主人公スカーレットの一人称でリライトしたという、林真理子氏の意欲作です。新聞の書評欄で知り、これは絶対に読みたいと思っていたところ、いつものカメリアステージ図書館新刊棚に、並んでいるのを発見。ありがたいですね。まずは上巻を読破。
読みながら思ったのは「わたしは『風と共に去りぬ』をいつ読んだんだ?」ということでした。というのも、大筋でストーリーは覚えているものの、南北戦争の描写の印象があまり残っていなかったのです。もしかしたら、ちゃんと全部は読んでいなかったのかもしれません。高校2年の頃に文化祭で『風と共に去りぬ』のパロディ(?)をやることになり、クラスメートが書いた脚本でストーリーを読み直し、さらに高校3年の時に、4時間ほどの映画をテレビで一挙放送する機会があって、当時受験直前にも関わらずぜんぶ見てしまった記憶があり、それらを通してストーリーが頭に入っていたのかもしれないな、などと思いつつ。
さて『私はスカーレット』。まだ上巻だけですが、傑作です。スカーレット・オハラという、ただでさえ強烈なキャラクターが、林真理子節でさらに磨きをかけられている、と、わたしは感じました。若い頃の林真理子さんの、コンプレックスを反転させたようなちょっとひねくれた毒舌が大好きでしたので、(わたしの持っているイメージでの)著書らしい勢いを感じて、愉快な気持ちになりました。
それにしても、もしも近くにいたら絶対に腹の立つキャラクターであろうスカーレットの、なんと力強く魅力的なこと。周りにいる人間は、自分にはできないことをやってのける彼女に腹立ち半分、羨望と敬意を抱いてしまうのだということが、とてもよくわかります。そして、わたしにとってはこれまで歴史の教科書を通してキーワードとしてしか知らなかった米国の「南北戦争」や「奴隷解放」が、本書でその時代・その場所で生きた人々の生活の一端を垣間見ることで、胸に迫ってきました。
凄みを持った面白さです。下巻も楽しみです。そしてそれを終えたら、気になりながら手を付けていなかった林真理子版『小説源氏物語』も読まねばなるまい、という気持ちになっています。