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読書『競歩王』(光文社)額賀澪著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『競歩王』(光文社)額賀澪著

ゴールデンウィーク中に読んだ『鳥人王』が面白かったので、借りてきた一冊です。『鳥人王』が2024年2月の刊行、『競歩王』が2022年6月の刊行となっておりました。上の写真は競歩ではなく800m走の様子ですが、陸上競技つながりということで。

『鳥人王』がなかなか芽の出ないお笑い芸人と大学生アスリートだったのに対して、『競歩王』はスランプに陥っている小説家と大学生アスリートのお話。本書の一文目「ひどく矛盾した競技だった。」が、わたしの持っていた「競歩」のイメージそのもので、「だよね~」と引き込まれました。

作家である主人公とともに、競歩がどのような競技であるのかを学びながらの読書となりました。どんなスポーツもそうだと思いますが、少し知識が増えるだけで、見え方がずいぶん変わってくるものですね。正直なところを言えば、これまでまったく競歩の試合を観たいと思ったことがありませんでした。それが読後は、機会があれば見てみたいな、という思いに変わっていますので、すごいことだと思います。

と同時に、小説家という仕事についても、なるほどそういうものなのかと、のぞき見したような気持になりました。主人公の設定は、高校生のときに受賞デビューした天才(と言われた)小説家。もちろんフィクションであるとはいえ、昨今の出版業界の事情が垣間見えてくるような感じで、これまたとても興味深かったです。小説を書き続けていくというのは、きっとたいへんなことなのだろうな、と。

1990年生まれという著者。サイトを拝見したところ、スポーツ小説、青春小説を主に書いていらっしゃるようです。まだ読んでいないものばかりですので、ちょっと追っかけてみようと思います。

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ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。