津屋崎浜より

読書『約束』(早川書房)デイモン・ガルガット著/宇佐川晶子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『約束』(早川書房)デイモン・ガルガット著/宇佐川晶子訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚。洋書で目に留まるものの多くが「早川書房」から出ているということに、なんとなく気が付いてはいたのですが、これもそんな一冊でした。

舞台は南アフリカ。この地のこともまた、わたしは「南ア=アパルトヘイト」的な世界史の記号として覚えているだけで、まったくわかっておりませんでした。アパルトヘイト以前から、以後の、移り行く時代を生きたある家族の物語。宗教、制度、戦争…価値観が大きく変わるなかでの生きづらさが、閉塞感を感じさせる一冊でした。

主人公の小さな女の子が少女となり、大人になり、その過程で彼女を取り巻く環境は大きく変わり、それでも彼女の持つ信念の1点はまったく揺るがず、最後には希望とも言い切れないような希望が灯って終わります。彼女がこだわり続けたものは、いったい何を象徴するものだったのか、わたしにはまだ理解しきれていないという思いが残る読書でした。

『約束』(早川書房)デイモン・ガルガット著/宇佐川晶子訳

それにしても早川書房さん、今年に入って読んだ本で、このブログで紹介したものだけでも、かなり濃い顔ぶれです。ありがたいことです。

↓こちらは洋書ではありませんが、洋書的雰囲気満載の一冊でした↓

↓わたしのフランス文学のイメージを変えた一冊↓

↓古典ミステリーの新版もありました↓

↓離婚した元夫婦の関係性が面白く描かれた名作↓

↓現代イタリアが舞台ながら普遍的なストーリーが心に刺さりました↓

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。