読書『絵師金蔵赤色浄土』

読書『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子

お盆休みをガッツリとっているわけではないのですが、なんとなくお休みモードでゆっくりしていることもあり、読書が進んでいます。

いつものカメリアステージ図書館新刊棚で、真っ赤な表紙に白抜き文字の「絵金」が目に入り、あれ?これは四国の…と、ぼんやりと記憶が反応。年初めにチェックした、2023年絶対見逃せない美術展のなかに絵金さんの展覧会があり、「これは観たい!」と思ってリストアップしていたのでした。

展覧会「幕末土佐の天才絵師 絵金(あべのハルカス美術館)」。足を運べないまま、すでに会期は終了していますが、それだけに、本書に出会えたことはラッキー!でした。幕末動乱期の四国。地方の藩においてもあらゆる身分の人たちが時代に翻弄され、そのなかで「絵師」という身分がどのように扱われたのかが伺える小説でした。

当時のいわゆる正統派である「狩野派」のお墨付きを得た主人公・金蔵が、次第に歌舞伎や人形浄瑠璃といった市井の風俗に惹かれ、それらを題材とした作品を描かずにいられなくなっていく様子には、絵描きという人種の持つ衝動の激しさを感じました。

本書を読み終えて、あらためて、絵金さんの展覧会を観たかったなぁ、と。ならば、高知県香南市にある絵金蔵に行くのが良いかもしれませんね。現地で見るのが一番ですから、ちょっと真剣に検討したいと思います。

『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。