花祭窯

読書『花のれん』(新潮文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『花のれん』(新潮文庫)山崎豊子著

山崎豊子作品、冊数の少ないものから読み進めています。デビュー作『暖簾』に続き『女の紋章』(これは上下巻ありましたが)、そして今回の『花のれん』。いずれも著者の「大阪船場商人の世界」への執心が感じられる作品でした。アプローチは異なれど、登場人物の姿を通じて「いかに商売をするのか=いかに生きるのか」を見せつけられました。自営業者であるわたしとしては、楽しみながらも考えさせられるところ少なからず。

さて『花のれん』。文庫裏の紹介文に「大阪商人のド根性に徹した女興行師の生涯」と書かれていますが、その主人公のなりふり構わず頑張る姿が、なんとも愛おしかったです。ダメ亭主を亡くした後の本領発揮ぶり、商売人ぶり。人によっては「えげつない」と感じるのかもしれませんが、わたしは読みながらついつい応援していました。それは主人公がどれほど必死に考え、自ら動いているかが、伝わってきたからにほかなりません。思わず、わたしももっと足を動かさないと…と反省。

山崎豊子作品を読みはじめてまだ三作目ですが、面白いなぁと思うのは、著者の登場人物に対する「えこひいき」とでも言えそうな描き方をしばしば感じること。えこひいきされるのは主人公とは限らず、書中で悪役としてふるまっている登場人物であっても、著者の愛情がひしひしと伝わってくることがありました。

そろそろ、大作に手を伸ばそうと思います(^^)

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。