こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『逃げ道』(新潮社)フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳
サガンといえば『悲しみよこんにちは』と連想はするものの、実はちゃんと読んだことはありませんでした。と書いたのは、つい10日ほど前のこと。読んでみようかな、と思ったらすぐに実行に移せるのは、いつものご近所カメリア図書館のおかげです。
さっそく『悲しみよこんにちは』と『逃げ道』を借りて参りました。まず手にしたのは『悲しみよこんにちは』。ところが期待が大きすぎたのかもしれません、ちょっぴり肩透かしを食らった感じがいたしました。が、これを18歳の少女が書き上げたということには、ただただ驚愕。物語のテーマにでは無く、あちらこちらに散見する文学的な空気感に、驚きました。読後に訳者である朝吹登水子さんの「あとがき」を拝見し、なるほど、その文学少女ぶりに納得させられました。
対して、続けて読んだ本書『逃げ道』は、期待を大きく超える「サガン節」でした。少々サディスティックな悲喜劇とでも言いましょうか、わたしの持っている「フランスっぽさ」のイメージそのもので、一人で大盛り上がりしました。喜劇と悲劇は紙一重と言われますが、まさにそんなことを考えさせられるドタバタ劇。頭のなかに映像が次々に浮かび上がってきます。この『逃げ道』こそ、誰か映画化してくれないかしら、と思いました。
ところが、サガン作品のなかでは人気が無いのでしょうか。アマゾンで探してみたところ、新刊で出ているものがありませんでした。個人的には『悲しみよこんにちは』よりも、断然面白かったです。最後は思わず「えーーーーっ!」と声を出してしまいました。