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読書『逃げ道』(新潮社)フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『逃げ道』(新潮社)フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳

サガンといえば『悲しみよこんにちは』と連想はするものの、実はちゃんと読んだことはありませんでした。と書いたのは、つい10日ほど前のこと。読んでみようかな、と思ったらすぐに実行に移せるのは、いつものご近所カメリア図書館のおかげです。

さっそく『悲しみよこんにちは』と『逃げ道』を借りて参りました。まず手にしたのは『悲しみよこんにちは』。ところが期待が大きすぎたのかもしれません、ちょっぴり肩透かしを食らった感じがいたしました。が、これを18歳の少女が書き上げたということには、ただただ驚愕。物語のテーマにでは無く、あちらこちらに散見する文学的な空気感に、驚きました。読後に訳者である朝吹登水子さんの「あとがき」を拝見し、なるほど、その文学少女ぶりに納得させられました。

フランソワーズ・サガン『悲しみよこんにちは』

対して、続けて読んだ本書『逃げ道』は、期待を大きく超える「サガン節」でした。少々サディスティックな悲喜劇とでも言いましょうか、わたしの持っている「フランスっぽさ」のイメージそのもので、一人で大盛り上がりしました。喜劇と悲劇は紙一重と言われますが、まさにそんなことを考えさせられるドタバタ劇。頭のなかに映像が次々に浮かび上がってきます。この『逃げ道』こそ、誰か映画化してくれないかしら、と思いました。

フランソワーズ・サガン『逃げ道』

ところが、サガン作品のなかでは人気が無いのでしょうか。アマゾンで探してみたところ、新刊で出ているものがありませんでした。個人的には『悲しみよこんにちは』よりも、断然面白かったです。最後は思わず「えーーーーっ!」と声を出してしまいました。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。