ヤマユリ

読書『運命の人』(文春文庫)山崎豊子-前半(1・2巻)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『運命の人』(文春文庫)山崎豊子-前半(1・2巻)

約半年ぶりの山崎豊子さん。前回の「勝手に山崎豊子祭り」では、大阪船場商人の生きざまを感じさせる本を読んでいました。できるだけ冊数の少ないものから…とスタートしたところ、初期の作品になっていました。今回はちょっと大作に手を伸ばしてみようと思っています。まず手に取ったのが、大作のなかでも比較的冊数の少ない本書『運命の人』、文庫で4巻です。現在2巻まで読み終わり、折り返し地点。

「国家権力とジャーナリズムの戦い」と銘打たれたストーリー。政治家・官僚とメディア。自分たちの生活がいかに振り回されているかを痛感するここ一年半を経て、思いがけずタイムリーな読書となりました。さまざまな課題・場面において、今も実際に、国の政治において似たようなことが起こっているのだろうことがイメージ出来て、背筋が寒くなります。このところ「時代は進んでも、同じ失敗を繰り返す」ことを考えさせられる本に立て続けに出会っていますが、本書もまたそのひとつです。

日本の近現代史を知る上でも、興味深い読書となっています。本書での事件の背景にある沖縄返還は、1972年。自分に置き換えると3歳の時です。ストーリーを追いながら、自分がいかに、生まれ育った時代のことを学ばずに生きてきたかを思います。近現代史、ちゃんと学ばないといけませんね。小説はもちろん事実そのものではありませんが、事実を下敷きにした、書き手の目を通した「その時代」を読むことができると思っています。そういう意味でも山崎豊子さんの本は、わたしにとって時間がかかっても必ず読んでおくべき本に位置づけられると感じています。

『運命の人』読書は後半2巻に入ります。エンディングに向かってドキドキが大きくなっています。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。